今回のニュースのポイント
帝国データバンクが10月16日に公表した調査によると、企業の採用時最低時給は平均1,255円で、前年から50円上昇しました。2026年度の最低賃金の全国加重平均(1,177円)との差は78円となり、2年連続で縮小。一方、企業が事業を継続しながら支払えると考える最低時給上限の平均は1,275円で、採用時最低時給との二つの平均値の差は20円でした。最低賃金の引き上げペースについては42.3%が「速すぎる」、34.4%が「妥当である」と回答しました。
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帝国データバンクは10月16日、全国の企業を対象に実施した「最低賃金に関する企業の実態調査(2026年9月)」の結果を公表しました。正社員や非正社員を問わず、企業が従業員を採用する際の最も低い時給(採用時最低時給)は平均1,255円となり、前年から50円上昇しました。一方で、企業が事業を継続しながら支払うことが可能と考える最低時給上限の平均は1,275円となり、採用時最低時給との二つの平均値の差は20円となっています。
厚生労働省が発表した2026年度の最低賃金(全国加重平均1,177円)と比較すると、採用時最低時給は最低賃金を78円上回っています。しかし、その差額の推移を辿ると、2024年の112円(最低賃金1,055円・採用時給1,167円)から、2025年は84円(同1,121円・同1,205円)、2026年は78円へと2年連続で縮小しました。採用時給そのものは3年連続で引き上げられているものの、最低賃金の上昇ペースに伴い、最低賃金に対する上乗せ幅は縮小傾向にあります。
企業が考える最低時給の支払い可能水準については、「事業を継続しながら支払うことが可能な最低時給の上限」を尋ねたところ、回答数値から算出された全体の平均は1,275円でした。この数値は選択肢の中間値を用いた推計平均であり、個々の企業の限界を示すものではありませんが、採用時最低時給平均(1,255円)との差は20円となっています。
支払い可能上限の分布を見ると、「1,200円台以下」と回答した企業が全体の52.8%と半数を超えました。一方、事業を継続しながら支払える最低時給の上限について「1,500円以上」と回答した企業は14.4%でした。政府が遅くとも2030年代前半までのできる限り早期に目指す全国加重平均1,500円とは、現時点の企業側の認識に隔たりがみられます。
近年の最低賃金の引き上げペースについての評価では、「速すぎる」と回答した企業が42.3%で最多となり、「妥当である」は34.4%、「遅すぎる」は6.2%でした(「分からない」は17.1%)。最低賃金は2024年に51円、2025年に66円、2026年に56円と、3年連続で50円を超える引き上げが実施されています。「速すぎる」とした割合を業界別に見ると、小売(58.9%)、農・林・水産(56.9%)、運輸・倉庫(51.5%)、製造(50.4%)で半数を超えた一方、建設では「妥当である」(43.0%)が「速すぎる」(29.3%)を上回るなど、業界によって受け止め方に違いが見られます。
最低賃金の上昇は、対象となる従業員の時給見直しにとどまらず、既存の従業員を含めた賃金体系に影響を与える場合があります。新人時給の上昇に伴い勤続年数の長い従業員との賃金差が縮小するため、企業によっては既存社員の昇給や各種手当、就業規則の改定などの対応が必要になる場合があります。調査の自由回答欄でも、パート従業員の賃上げによって正社員の賃上げ原資に影響が出ている事例や、中堅層との賃金バランスに苦慮する声が寄せられました。
今回の調査では、企業の採用時最低時給が上昇する一方、法定最低賃金との上乗せ幅が2年連続で縮小していることが確認されました。また、採用時最低時給と企業が考える支払い可能上限の平均値の差は20円となりました。最低賃金引き上げが継続するなか、企業においては価格転嫁や労務費の取引価格への反映、生産性向上などを通じた賃上げ原資の確保が引き続き課題となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













