建設現場で作業する人々。厚生労働省の2025年の監督指導結果では、法令違反が疑われ監督を受けた事業場のうち、技能実習関係の建設業で80.2%、特定技能関係の建設業で81.4%に労働基準関係法令違反が認められた。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
厚生労働省は、2025年に全国の労働基準監督署などが外国人技能実習生や特定技能外国人を使用し、労働基準関係法令違反の疑いがある事業場に実施した監督指導(立入調査)の結果を発表しました。監督指導を実施した事業場のうち、技能実習関係では1万3148事業場中9619事業場(73.2%)、特定技能関係では8082事業場中6179事業場(76.5%)で法令違反が確認されました。重大・悪質な違反による送検は技能実習で26件、特定技能で9件に上りました。本調査は外国人を雇用する全事業場ではなく、違反が疑われた事業場を対象としています。
本文
厚生労働省は、外国人技能実習生および特定技能外国人を使用する事業場を対象に、全国の労働基準監督署などが2025(令和7)年に実施した監督指導(立入調査)および送検の実施状況を取りまとめ公表しました。
今回の公表結果は、外国人を雇用する事業場全体の違反率を示すものではなく、労働基準関係法令違反の疑いがあって労働基準監督署などが優先的に立ち入った事業場を母数として集計されたものです。また、確認された違反は事業場単位のものであり、技能実習生や特定技能外国人以外の労働者(日本人労働者等)に関する違反も含まれます。
■技能実習、監督先の73.2%で違反確認
技能実習生を使用し、法令違反が疑われて監督指導を実施した事業場数は、2021年の9036事業場から2025年には1万3148事業場へと増加しました。このうち法令違反が認められたのは9619事業場でした。
違反率は73.2%となり、過去の動向(2021年72.6%、22年73.7%、23年73.3%、24年73.2%)と比較しても、おおむね7割台前半の推移が続いています。
主な違反事項の内訳は、(1)使用する機械等の安全基準(労働安全衛生法第20〜25条)が22.8%、(2)健康診断結果についての医師等からの意見聴取(同法第66条の4)が15.7%、(3)割増賃金の支払(労働基準法第37条)が15.6%の順に高くなっています。
■技能実習の業種別では建設業が80.2%
主要業種別でみると、監督指導を受けた事業場の違反率には差がみられます。
技能実習関係で在留者の多い主要業種では、建設業が2808事業場中2252事業場で違反が確認され、違反率は80.2%に達しました。農・畜産が75.4%、繊維・衣服製造が72.5%、食料品製造が71.8%、機械・金属製造が68.6%となっています。建設業では割増賃金の支払違反が23.0%、医師等からの意見聴取違反が22.9%と高水準でした。
■特定技能は76.5%で違反、前年から微増
特定技能外国人を使用する事業場への監督指導件数は、前年の5750事業場から8082事業場へと40.6%増加しました。違反が確認された事業場も4395事業場から6179事業場へと増加しています。
特定技能における違反率は76.5%となり、前年の76.4%から0.1ポイント上昇しました。主な違反事項は、安全基準が20.7%、医師等からの意見聴取が16.7%、割増賃金の支払が16.3%となっています。
■特定技能の建設81.4%、飲食店80.6% 食料品製造は安全基準39%
特定技能の主要5分野に関連する業種別では、建設業が1238事業場中1008事業場で81.4%と最も高い違反率を示しました。
飲食店も366事業場中295事業場で80.6%と高水準となっています。次いで社会福祉施設が76.6%、食料品製造が76.1%、工業製品製造が73.9%でした。業種ごとに最も多かった違反事項にも違いがみられ、飲食店では労働時間違反(33.9%)、社会福祉施設では割増賃金支払違反(25.9%)、食料品製造では機械等の安全基準違反(39.0%)がそれぞれ最多を占めました。
■「月100時間超」の違法残業などで送検事例も
重大・悪質な労働基準関係法令違反に対しては送検が行われています。2025年の送検件数は技能実習で26件(前年比10件増)、特定技能で9件でした。
特定技能の送検事例では、金属製品製造業者において、36協定の上限を超えて1カ月当たり100時間以上、複数月平均で月80時間を超える違法な時間外・休日労働を特定技能外国人に命じていたケースが含まれます。当該事業場では過去にも違法な長時間労働が認められていました。また、技能実習での送検26件のうち19件は労働安全衛生法違反、7件は労働基準法・最低賃金法違反でした。
■本人からの不払い申告や入管連携も実施
外国人本人から労働基準監督署等へ出された是正申告は、技能実習生から108件、特定技能外国人から150件寄せられました。申告内容の多くを賃金・割増賃金の不払いが占めています(技能実習93件、特定技能131件)。
また、出入国在留管理機関や外国人技能実習機構との相互通報も行われており、特定技能では労働基準監督署等から出入国在留管理機関へ502件の通報を実施したほか、人権侵害が疑われる事案などについて9事業場で合同監督・調査を行いました。
厚労省は、外国人材の適正な労働条件と安全衛生の確保に向け、引き続き違反の疑いがある事業場への監督指導を実施し、重大・悪質な事案には送検を含め厳正に対応する方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













