欧州・中東・アフリカ(EMEA)を結ぶデジタルネットワークのイメージ。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの2026年上半期調査によると、同地域のデータセンター稼働中容量は12.1GWを超え、建設中・計画段階の開発パイプラインは18.3GWに達した。電力供給や送電網への接続が今後の開発を左右する課題となっている。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
不動産サービス大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの2026年上半期調査によると、EMEA(欧州・中東・アフリカ)のデータセンター稼働中容量は12.1GWを超えました。建設中(3.8GW)と計画段階(14.5GW)を合わせた開発パイプラインは18.3GWに達しています。稼働容量は2024年第2四半期比36%超増、パイプラインは前年比34%超増と拡大が続く一方、電力供給や送電網接続、許認可手続きが開発上の主な制約となっています。
本文
不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドがまとめた2026年上半期の市場調査「H1 2026 EMEA Data Centre Market Update」によると、EMEA(欧州・中東・アフリカ)地域におけるデータセンターの稼働中容量が12.1ギガワット(1万2,100メガワット)を超えたことが明らかになりました。
デジタル化の進展やAI(人工知能)向け計算需要の高まりを背景に、EMEA地域ではデータセンターの稼働中容量と新規開発計画の双方が拡大しています。
市場の成長は稼働中の施設にとどまりません。現在建設中のプロジェクト容量は3.8ギガワット、開発計画として把握されている計画段階の容量は14.5ギガワットに上り、両者を合わせた「開発パイプライン」は計18.3ギガワット(1万8,300メガワット)の規模に達しています。
成長のペースを比較すると、稼働中容量は2024年第2四半期時点との比較で36%超増加しました。一方で、建設中および計画段階を合わせた開発パイプラインも、前年同期比で34%超増加しています。なお、両指標は比較対象となる時期(2024年第2四半期比と前年同期比)が異なるものの、需要の拡大に伴い既存供給と将来の供給計画の双方が力強い伸長を見せている状況を示しています。
地域別の構造を見ると、従来の主要5大都市圏であるFLAPD(フランクフルト、ロンドン、アムステルダム、パリ、ダブリン)が、依然としてEMEA全体の稼働中容量の約43%を占めています。大規模な通信インフラや顧客基盤が集積するこれら主要市場が、引き続き地域のデータセンター産業を牽引しています。
一方で、開発の波は従来の主要市場を超えて広がりを見せています。特に北欧や南欧などの周辺地域において新規開発が活発化しており、地理的な分散が進んでいます。一次資料によると、主たる開発動向は従来の主要都市から、電力供給体制や敷地確保、あるいは系統接続の条件で相対的に優位性を持つ地域へと徐々に多様化しつつあります。
こうした需要の増大と計画の膨張に対し、最大のボトルネックとして浮上しているのが「電力インフラの制約」および「規制・許認可手続き」です。データセンターは極めて膨大な電力を消費するため、新設や拡張にあたっては十分な電力供給能力の確保と、既存の電力網(送電網・系統)への円滑な接続が不可欠となります。
一方、電力供給能力や送電網への接続条件、許認可手続きなどが、新規開発を進めるうえでの課題となっています。こうした制約は、建設中・計画段階にある案件を実際の稼働容量へと移行させる際の重要な条件となります。
今後の焦点は、18.3ギガワットに及ぶ豊富な開発パイプラインのうち、どれほどの案件が電力インフラや許認可の課題をクリアし、予定通り実際の稼働へと至るかという点に移ります。計画規模の拡大という需要側の強い動きと、電力確保や各種手続きという供給・制度側の物理的制約の双方が、今後の市場の成長ペースを左右することになります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













