送電設備を備えたデータセンターの外観を表現した画像。米SolunaとApplied Digitalは、テキサス州で風力発電と送電網を活用するIT設備容量50MWのAIデータセンター共同開発を計画している。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
米Soluna Holdingsは2026年10月21日、Applied Digitalとテキサス州でのAI・HPC向けデータセンター共同開発契約を締結したと発表しました。「Project Dorothy 3」の第1期としてIT設備容量50MWを計画し、隣接する150MWの風力発電所と送電網を活用します。出資比率はApplied Digitalが51%、Solunaが49%の予定で、2026年末までの取引完了を目指します。ChronoScaleとの賃貸借は意向表明段階です。
本文
米Soluna Holdingsは2026年10月21日、米Applied Digitalと、テキサス州において人工知能(AI)および高性能計算(HPC)向けデータセンターを共同開発するための契約を締結したと発表しました。対象となるのは同社の開発計画「Project Dorothy 3」の第1期事業であり、IT設備容量50メガワット(MW)規模のデータセンター施設の整備を計画しています。風力発電と送電網(グリッド)を組み合わせて電力を確保する構想で、現在は開発計画の段階にあります。
計画地は、米国テキサス州ブリスコー郡シルバートン近郊に位置しています。本プロジェクトは、既存の設備容量150メガワットを誇る「Briscoe Wind」風力発電所に隣接する立地を生かして進められます。新設されるデータセンター施設では、隣接する風力発電所からの直接的な電力供給に加え、既存の送電網を相互補完的に活用する計画です。なお、150メガワットは発電設備の容量であり、50メガワットのデータセンターIT設備容量とは異なる数値を指します。
AIモデルの学習や推論、HPC処理の急増に伴い、データセンター事業者にとって安価で安定した電力をいかに確保するかが世界的な課題となっています。今回の共同開発構想は、風力発電による再生可能エネルギーの活用と、送電網接続による供給の安定性を両立させることを狙いとしています。再生可能エネルギーの出力変動に対して送電網を組み合わせることで、高負荷なAI計算処理に対応する電力供給インフラの構築を目指します。
両社は共同事業会社(JV)を通じて開発を進める方針で、出資持ち分はApplied Digitalが51%、Solunaが49%となる予定です。Solunaが保有する土地や電力接続関連資産などのプロジェクト権限を活用し、データセンターインフラの建設や運営ノウハウを持つApplied Digitalと協力して事業を推進します。なお、この出資持ち分の比率は将来の共同事業会社における保有割合を示すものであり、実際の建設費用や資金調達の負担割合と直接同一視されるものではありません。
今回の共同開発契約は合意に達したものの、共同事業としての正式な取引完了には複数の条件充足が必要です。両社は2026年末までの取引完了を目指していますが、ブリスコー郡による税優遇措置の最終承認、必要な社内承認の取得、最終的な賃貸借契約および電力供給契約の締結などが前提条件として設定されています。したがって、本発表は共同開発の枠組み合意を示すものであり、施設建設の確定や完了を意味するものではありません。
施設の利用候補として、Applied Digitalが株式の過半数を保有するAIインフラ企業ChronoScaleの名前が挙げられています。ただし、現時点における両社間の関係は、拘束力のない賃貸借に関する意向表明書(LOI)を交わした段階にとどまります。正式な長期賃貸借契約の成立や入居確定には至っておらず、顧客による設備導入や利用開始が決定したわけではありません。開発側は事業の具体化に向け、取引完了と併せて正式契約の締結を目指すことになります。
AIデータセンターの開発には、適切な土地の確保、安定した電力アクセス、建設・設備資金、AI計算設備やシステムを利用する最終的な顧客の獲得という複数の要素を統合する高度な事業開発モデルが求められます。今回の案件は、風力発電所に隣接する立地と電力インフラ資産を基盤に、専門パートナーや利用候補企業を組織化して大型プロジェクトを立ち上げるアプローチの一例です。事業の成功には、各種条件をクリアして各契約を正式に成立させることが不可欠となります。
当面の焦点は、2026年末までを目指す共同事業の取引完了と、税制優遇や電力供給、賃貸借に関する各種条件の充足に移ります。承認手続きの進捗や正式契約の締結状況が、その後の建設着工や実際の稼働時期、事業の成否を左右することになります。AI需要の拡大に伴うインフラ競争において、電力の確保と厳密な事業契約の成立をいかに両立させて計画を具体化できるかが今後の注目点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













