今回のニュースのポイント
総務省は、選挙の公正を害するおそれのあるSNS上の偽・誤情報やAI生成コンテンツへの対応について、指針案と省令改正案を示しました。大規模プラットフォーム事業者に対し、閲覧数に応じた報酬制度の見直しや収益化停止、AI生成コンテンツの表示・検知、発信者情報の表示、情報の表示順位の調整などを推奨しています。意見募集は2026年10月24日から11月24日まで。個別の推奨措置すべてを義務付けるものではなく、表現の自由への配慮も求めています。
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総務省は2026年10月23日、選挙の公正に対する悪影響を軽減するため、SNSや動画投稿サイトなどの大規模プラットフォーム事業者が取り組むべき対応を取りまとめた指針案と省令改正案を公表しました。人工知能(AI)によって作成されたディープフェイク動画などの検知・表示機能や、偽・誤情報の拡散を促す金銭的インセンティブを抑える収益化ルールの見直しなどを事業者に推奨する内容となっています。本案に対する意見募集(パブリック・コメント)は、10月24日から11月24日までの1か月間にわたり実施されます。
今回の指針案の背景には、2026年7月13日に成立した改正「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法)」および改正公職選挙法があります。2027年3月1日に施行される改正法では、指定を受けた大規模事業者に対し、選挙の公正を害するおそれのある情報流通の悪影響を軽減する措置を講じ、その実施状況を年1回公表することが義務付けられています。今回の指針案は、この法律上の義務に基づき、事業者が具体的にどのような措置を講じることが適切かつ有効かを示すガイドラインとして提示されたものです。
経済・プラットフォーム政策の観点から特に注目されるのが、SNSの収益化(マネタイズ)の仕組みに関する推奨措置です。閲覧数や再生回数に応じた報酬の仕組みが、選挙の公正を害するおそれのある情報の発信や拡散を促す金銭的な誘因となり得ることから、指針案では収益化の要件整備や対象者の厳格な審査、収益化対象者である旨の表示、報酬の仕組みの見直し、収益化停止措置などを推奨しています。
急速に技術が進展するAI生成コンテンツへの対応も手厚く記載されています。改正公職選挙法では、選挙運動などの文書図画に一定のAI生成・改変画像や映像を使用する場合、発信者側にその旨を明示する義務が課されています。指針案では事業者に対し、ユーザーが投稿時に「AI生成」であることを容易に表示できる機能の実装や、発信者が表示を行っていない場合でも、事業者が選挙の公正を害するおそれのあるAI生成コンテンツを検知し、その結果を踏まえて利用者に警告表示などを行うことを推奨しています。
このほか、アカウントの信頼性を向上させるための「本人確認済み」表示機能や発信者の所在地(国・地域)表示機能の実装が例示されました。また、公的機関や政党・候補者の公式アカウントなど信頼性の高い情報源を優先的に見やすい位置へ表示するプロミネンス機能や、選挙の公正を害するおそれのある情報の表示順位を引き下げる機能、利用規約に違反する投稿などへの警告表示も推奨されています。
もっとも、指針案に記載されたこれらの推奨措置はあくまで具体例であり、そのすべてを事業者に一律に義務付けるものではありません。個別の投稿に対する削除行政を求めるものではなく、実際にどの措置をどのように組み合わせるかは、各プラットフォームのサービス特性や技術水準に応じた事業者の自主的な判断に委ねられます。指針案自体も、民主主義の根幹である選挙の公正を確保することと、憲法で保障された表現の自由や自由な選挙運動を不当に阻害・萎縮させないことのバランスに最大限の配慮を求めています。
総務省は11月24日まで意見を募集します。改正法は2027年3月1日に施行される予定で、寄せられた意見を踏まえて指針案と省令改正案の検討が進められます。法律で義務付けられた年1回の実施状況公表を通じて社会的評価やユーザーの選択を促しつつ、大規模プラットフォーム事業者が表現の自由に配慮したうえで具体的なシステム改修やルール策定を進めていくことになります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













