デジタル基盤と行政・医療・産業を結ぶネットワークのイメージ。政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で、AIの活用とあわせてサイバーセキュリティの強化を重要な柱の一つに位置付けている。(画像:イメージ)
今回のニュースのポイント
政府が決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、AIや行政デジタルの活用推進と並んで、サイバーセキュリティの強化が重要な柱の一つとして位置付けられました。AI技術の高度化に伴い、サイバー攻撃の手法が巧妙化・高速化しており、政府システムや重要インフラ、民間のサプライチェーンに対する脅威が増大しています。政府が防御強化を急ぐ背景と、行政や企業に求められるサイバー対策の現在地を整理します。
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行政手続きのデジタル化やAIの利活用が進む一方で、社会全体のデジタル依存度が高まるにつれて攻撃の標的となる表面も拡大しています。NICT(情報通信研究機構)の観測では、サイバー攻撃に関連する通信数は2015年から2025年までの10年間で約11倍に増加しました。国際的な地政学リスクの高まりに加え、医療機関や民間企業を狙ったランサムウェア被害の増加など、日常生活や経済活動の根幹を脅かす事例が相次いでおり、安全保障上の観点からもセキュリティ強化が急務となっています。
政府が危機感を強める背景には、攻撃側による「AIの悪用」リスクがあります。AI性能の飛躍的な向上に伴い、AIを悪用することで攻撃の効率化や高度化が進み、従来の手動対応では追いつかない速度での攻撃や、標的型メールの精巧化、偽情報の拡散などが懸念されています。デジタル技術の利便性が高まる反面、攻撃側にとっても有力なツールとなり得る現状があります。
こうした事態を受け、政府はサイバーセキュリティ対策パッケージ「Project YATA-Shield」などを打ち出し、即応体制の整備を進めています。行政内部においては、脆弱性を常時診断・対処するCRSAや、政府情報システムを横断的に監視するCOSMOSの機能をAIで高度化し、攻撃の異常兆候を早期に捉える体制を構築しています。また、誰も信頼しないことを前提としたゼロトラスト思想に基づき、政府職員向けの共通業務環境であるガバメントソリューションサービス(GSS)への統合を進め、システム全体の強靱化を図っています。
セキュリティの確保は行政機関にとどまらず、社会全体の課題です。大病院や中小企業を含めたサプライチェーン全体を守るため、政府は医療機関のネットワーク統合支援や、企業のセキュリティ水準を可視化する「サプライチェーン強化向けセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」の運用準備を進めています。さらに、「サイバーセキュリティ人材フレームワーク」などを活用し、専門的な知識とスキルを持つ人材の確保や育成を国全体で後押しする方針です。
AI社会の実現に向けた取り組みは、デジタル利便性の追及だけで成り立つものではありません。利便性の向上とサイバーセキュリティの強化を一体的に推進できるかが、デジタル基盤の信頼性を左右する重要なテーマとなりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













