AIを使いこなす人の83%が疲労感 導入前の課題設定にも課題、2社調査

2026年10月25日 09:53

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パソコンで業務を行う様子。サーバーワークスの調査では、AIを使いこなせていると自己評価した会社員の83.0%が、AI利用に疲れや負担を感じていると回答した。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

サーバーワークスが10月22日に発表したAI導入企業会社員269人調査によると、67.6%がAIを使いこなせていると答えた一方、72.5%が利用に疲れや負担を感じていました。使いこなせる層では83.0%に達し、指示の繰り返しや出力の確認・修正が主な負担となっています。一方、Engineerforceが10月23日に発表したAI導入関与者217人対象の別調査では、導入前の業務課題設定の課題が示されました。2社の対象は異なります。

本文
 クラウドサービスを展開する株式会社サーバーワークスは2026年10月22日、AIツールが導入されている企業の会社員269人を対象に実施した意識調査結果を公表しました。調査では回答者の67.6%が「AIを使いこなせている」と自己評価する一方、全体の72.5%が業務でのAI利用に疲れや負担を感じている実態が明らかになりました。特に、AIを使いこなせていると答えた層において、疲れや負担を感じている割合が83.0%に達する逆説的な傾向が示されています。

 調査結果によると、業務におけるAI利用で疲れや負担を「よく感じる(26.4%)」「たまに感じる(46.1%)」を合わせた割合は7割を超えました。これをAIの習熟度別に比較すると、使いこなせていると回答した層では83.0%が負担感を抱いているのに対し、使いこなせていないと回答した層では50.6%にとどまり、32.4ポイントの開きが生じています。ただし、習熟度は回答者の自己評価に基づくものであり、この結果だけでAIを使いこなすことが疲れや負担の原因になっているとは判断できません。

 具体的にどのような場面で負担を感じているかについて、疲れや負担を感じると回答した195人に尋ねたところ、「希望する回答が得られるまでプロンプト(指示文)を工夫・修正して繰り返す(36.9%)」や「AIの出力結果が正しいか判断・確認・修正する(36.4%)」が上位に挙がりました。さらに「情報漏えいや著作権侵害などを意識し続ける(29.2%)」や「仕事のスピードや業務量が増える(29.2%)」が続いており、生成後の検証作業や安全面への配慮が継続的な負荷となっている様子が示されています。

 企業側の支援状況については、勤務先によるAI運用のサポートに「不十分さを感じる」と答えた人が全体の33.5%にのぼりました。支援が不十分と回答した90人に対し、企業に求める取り組みを質問したところ、「従業員向けのAI活用研修(46.7%)」「社内利用ルールやガバナンスの整備(43.3%)」「AIを活用すべき業務の選定や明確化(37.8%)」などが求められています。現場の個人が手探りで対応するだけでなく、組織的な運用方針や研修体制の整備を望む声が根強く存在しています。

 一方、株式会社Engineerforceが10月23日に発表した別の調査(AI導入に関わった217人対象)では、導入段階における設計の課題が指摘されています。同調査によると、導入前に具体的な業務課題を設定できていた割合は28.1%にとどまり、大まかな目的のみ設定されていた層が37.8%、導入時点で具体的な目的や活用方法が定まっていなかった層は31.4%でした。また、回答者の53.5%が「AIを使うこと自体が目的化している」と感じており、ツールの導入ありきで進む傾向が浮き彫りとなっています。

 さらに同調査内の分析では、導入前の課題設定の有無によって成果の実感に明確な差が見られました。導入前の課題設定が明確だった層では期待した成果に達しなかったとする割合が27.9%であったのに対し、課題設定が不明確だった層では63.3%が期待未達と回答しています。ただし、この結果は同調査の回答者内における相関関係を示すものであり、前述したサーバーワークス調査における従業員の疲労感や負担と直接の因果関係が実証されているわけではありません。

 2つの独立した調査は、AIを使いこなせることと業務上の負担が小さいことは同じではなく、AI導入に当たっては具体的な業務課題の設定も重要な論点になることを示しています。AIが提示した出力の精査や指示の試行錯誤が新たな業務負担を生む側面もあり、企業がAI活用を進める上では、ツールの導入や利用促進だけでなく、対象業務の絞り込み、出力検証プロセスの設計、適切な評価基準の設定が重要な論点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)