高さ60メートル超の煙突、全国180本で損傷・劣化 60本は対策予定なし 国交省調査

2026年10月26日 09:15

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経済産業省の庁舎。大型煙突の損傷・劣化に関する国土交通省の調査結果を受け、経産省は所有者・管理者に応急的な補修を要請した。(資料写真)

今回のニュースのポイント

国土交通省の公表によると、熊本地震の煙突倒壊被害を受けて実施した全国調査で、高さ60メートル超の鉄筋コンクリート造煙突444本のうち180本(40.5%)で損傷や劣化が確認されました。このうち120本は対策予定がある一方、60本は調査時点で対策予定がありませんでした。経済産業省などの関係省庁は所有者らに応急補修を要請しており、国交省も補修方法を周知して今後の取り組み状況を確認する方針です。

本文
 産業インフラの安全性確保に向け、全国の大型煙突における老朽化や損傷の実態が明らかになりました。国土交通省は10月23日、国内にある高さ60メートルを超える鉄筋コンクリート造の煙突444本を対象に実施した調査結果を公表しました。全体の40.5%に当たる180本でひび割れや劣化が確認され、そのうち120本では補修などの対策予定が立てられていた一方、残る60本については調査時点で具体的な対策予定が示されませんでした。

 今回の調査は、2026年の熊本地震において工場などの煙突が倒壊する被害が生じたことを受けて行われました。調査対象は倒壊した煙突と同様の構造を持つ「高さ60メートル超の鉄筋コンクリート造の煙突」に限定されており、国内に存在するすべての煙突を網羅したものではありません。調査は関係省庁を通じて2026年8月18日から9月7日にかけて実施され、煙突の保有が新たに判明した業種に対しては9月28日から10月15日に追加確認が行われました。

 全国集計の内訳を見ると、調査対象444本のうち「損傷・劣化なし」は256本(57.7%)でした。また、稼働停止の調整や点検事業者の手配が必要といった理由で「点検実施に向けて調整中」とした煙突が8本(1.8%)ありました。損傷・劣化が報告された180本では、具体的な事象としてひび割れやコンクリート表面の剥離、鉄筋の露出、中性化や腐食などが確認されています。なお、60本に見られる「対策予定なし」は調査時点での回答状況であり、所有者が恒久的に補修を拒否していることを示すものではありません。

 都道府県別の状況では、対象煙突の多い産業集積地を中心に損傷や劣化が報告されています。確認された本数が多い地域としては、北海道(36本中21本)、兵庫県(35本中20本)、山口県(38本中16本)などが挙げられます。また業種別では、製紙(61本中36本)、セメント製造(44本中29本)、製鉄(87本中31本)などで損傷・劣化の確認割合が高くなっています。これらは設備規模や立地環境に応じた集計結果であり、特定の地域や業種全体の危険水準を一律に示すものではありません。

 国土交通省は調査結果の公表に合わせ、損傷の進行を抑えるための応急的な補修方法を例示しました。具体的には、発生しているひび割れの幅や状況に応じた樹脂材料の充填、耐酸性や耐熱性を持つセメントモルタルを塗布して鉄筋の発錆や中性化を抑制する手法、内側の保護材の補修などが示されています。これらは個々の煙突の損傷の程度や部位に合わせて適用される技術的な参考例であり、すべての煙突に同一の工法を一律に義務付けるものではありません。

 調査結果を受け、所管省庁による具体的な是正対応も始まっています。経済産業省は10月23日、損傷や劣化が確認された煙突の所有者や管理者に対し、国交省が示した方法などを参考に応急的な補修を講じるよう文書で要請しました。国土交通省も全国の特定行政庁へ調査結果と補修手順を周知し、事業者への指導や相談対応を求めています。今後は関係省庁が連携し、各施設における補修の実施状況について継続的なフォローアップを行っていく方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)