熊本地震から3か月、被災者の23.3%が住宅再建などに課題 耐震未改修38.5%

2026年10月28日 08:04

今回のニュースのポイント

2026年の熊本地震から約3か月となるなか、熊本市が10月27日に公表した市民アンケートでは、被災した回答者の23.3%に、住宅再建の方針・時期や資金・就労などの課題がありました。また、被災した回答者の38.5%が、2016年の熊本地震で家屋が被災したものの耐震改修・補強は行っていないと回答しました。住宅再建には工事や資金の確保が必要ですが、被災者が費用を負担できるかは別の問題です。復興を進めるうえで、住宅と生活の両面を支える仕組みが重要な論点となっています。

本文
 2026年7月の熊本地震発生から約3か月が経過した10月28日を前に、熊本市は10月27日の市長記者会見において、市民アンケートの調査結果を公表しました。調査によると、今回の地震で被災したと答えた回答者のうち23.3%が、住宅再建の方針や時期が未定であるか、あるいは資金・就労・家族関係などに課題を抱えて支援を必要としている状況にあることが明らかになりました。住まいの確保に向けた方針の決定にとどまらず、生活の基盤となる諸条件の整備において複雑な課題が残されている実態が示されています。

 今回の調査は、熊本市が2026年9月11日から30日にかけて、ウェブとアンケート用紙を通じて実施したもので、2,395件の回答が寄せられました。調査では市民の被災状況や生活再建に向けた意向、直面している困難などが尋ねられています。なお、調査で示された住宅再建に関する23.3%や耐震化に関する38.5%といった数値は、いずれも今回の地震で被災したと回答した人に関する割合であり、熊本市内の全住民や全世帯の実態にそのまま一律で当てはまるものではない点に留意が必要です。

 被災した回答者のうち23.3%が挙げた課題の内訳をみると、住居の修繕や建て替え、移転といった方針そのものが定まっていないケースに加え、再建資金の目途が立たないことや就労環境の変化、世帯内の事情など、多様な要因が重なっていることがうかがえます。住宅再建には工事の計画だけでなく、資金の確保や就労・家族関係などの生活条件も関わります。今回の調査は、住宅再建を考えるうえで複数の課題を抱える回答者がいることを示しています。

 さらに、市長会見の説明では、住宅の再建に関する課題に加えて、健康面での不安や日常生活の維持といった広範な支援を必要としている回答者を含めると、全体の「約3人に1人」に達することが言及されました。被災後の生活においては、建物の物理的な修復だけでなく、心身の健康維持や地域コミュニティとのつながりなど、複合的な支援ニーズが存在しており、生活再建に向けた課題が住家被害の枠組みを超えて広がっている実情がうかがえます。

 また、過去の被災経験と耐震化の状況についても重要な結果が示されています。今回の地震で被災したと回答した人のうち、38.5%が「2016年の熊本地震で家屋が被災したが、耐震改修・補強は行っていない」と回答しました。この数値は熊本市全体の住宅耐震化率を示すものではありません。また、耐震改修・補強を行わなかった理由を直接示すものでもありませんが、過去に家屋が被災した回答者の中にも、耐震化が進んでいないケースがあることが分かります。

 経済的な観点からみると、住宅の修繕や建て替え、耐震補強は地域における建設・復興需要を喚起する契機となる一方で、被災世帯にとっては極めて重い家計負担となります。被災後に就労状況が不安定化したり、他の生活費負担が重なったりした場合、多額の資金を必要とする住宅投資の実行は著しく制約されます。被災地において住居の安全性を高める投資需要が存在することと、個々の家計がその負担を引き受けられる資力を持つことの間には、明確な隔たりが存在しています。

 熊本市は、2026年10月28日に開催予定の第6回震災復興本部会議において、今回のアンケート詳細結果や復興計画素案を報告する予定です。住まいの再生を円滑に進めるためには、単なるハード面の復興需要への対応にとどまらず、就労支援や健康管理、公的な生活再建支援制度との効果的な連携が欠かせません。復興に向けた住宅投資を個人の負担だけに委ねず、生活全体の安定と両立させながらどう下支えしていくかが、今後の復興政策における実質的な論点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)