政府「人口総合戦略」策定へ 少子化対策に加え、労働力不足・社会保障・地方の維持を横断

2026年10月29日 06:08

通行人イメージ

都市部の横断歩道を行き交う人々。政府は10月28日、人口総合戦略の策定に向けた関係副大臣等会議を開催した。少子化傾向の反転に加え、働き手の減少に対応した経済活動の維持、社会保障、地域社会の持続可能性を横断的に検討する(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

政府は10月28日、第1回人口総合戦略に関する関係副大臣等会議を開き、人口減少に対応する総合戦略の策定に向けた検討を進めました。少子化傾向の反転だけでなく、働き手の減少に対応した経済活動の維持、全世代型社会保障、持続可能な地域社会の構築を横断的に扱います。骨太方針2026では年末を目標とする一方、今回の工程表では2027年1月の策定が示されました。現時点で個別施策の詳細が決まったわけではありません。

本文
 政府は2026年10月28日、「第1回人口総合戦略に関する関係副大臣等会議」を開催し、急速に進む人口減少に対応するための新たな国家戦略「人口総合戦略」の策定に向けた検討を本格化させました。少子化の流れを食い止める施策にとどまらず、人口減少が不可避となる局面においても社会経済の活力を維持するための構造改革を分野横断で位置づける方針です。骨太方針2026では2026年末をめどに戦略を策定する方針が示されています。一方、10月28日の会議資料に掲載された工程表では、策定時期が2027年1月に配置されており、正式な決定日は確定していません。

 検討されている人口総合戦略は、省庁ごとの個別施策を束ねるだけでなく、人口問題を中長期的な視点で俯瞰し、政府共通の基本理念や目標を示す枠組みとして位置づけられています。具体的には、目指すべき将来像を提示する基本理念と基本目標の策定、人口動態等の将来シミュレーションを通じた共通認識の醸成、分野横断的な政策体系の整理、そして戦略を持続的に推進するための体制整備が盛り込まれる方向です。個別事業の細目については、本戦略の策定後に関係会議で順次具体化が進められる見通しです。

 戦略策定の背景には、長期化する人口減少とそれに伴う社会基盤への強い危機感があります。日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少が続いており、2025年時点の総人口は1億2,297万人となっています。国立社会保障・人口問題研究所が公表している将来推計人口(中位推計)では、2070年には総人口が約8,700万人にまで縮小する見通しが示されています。生産年齢人口の急減に伴う供給力不足や社会保障の支え手不足、地方の生活インフラ維持といった課題が顕在化する中、社会構造全体の適応が急務となっています。

 会議に示された論点案では、戦略の基本方向として4つの柱が提示されました。第1は希望する結婚・出産・子育てを支える「少子化傾向の反転」、第2は生産性向上や労働参加の促進を通じて経済活動を保つ「人材希少社会における社会経済の活力維持」です。これに加え、給付と負担のバランスを見据えた「全世代型社会保障の構築」、地域インフラや生活サービスを維持する「持続可能な地域社会の構築」を掲げています。これらは人口減少の抑制と適応を包括的に進めるための検討軸として設定されています。

 今回の戦略が従来の少子化対策と大きく異なるのは、出生数の減少への対応と、すでに進みつつある人口減少を前提とした社会経済システムの再構築を「両輪」として位置づけている点です。これまで進められてきた子育て給付や育児休業支援などの少子化対策を着実に継続しつつも、それ単独では解決できない構造的な供給制約に対し、産業構造や地域社会のあり方を根本から見直すアプローチをとります。人口減少の現実から目を背けずに、少ない人口でも安心と成長を維持できる国のかたちを目指す考え方です。

 策定に向けた推進体制としては、内閣総理大臣を本部長として2025年11月に設置された人口戦略本部の下、今回新たに設置された関係副大臣等会議と有識者会議が連携して検討を進めます。副大臣等会議で整理された検討の方向性を有識者会議に提示して多角的な議論を行い、地方団体や労使団体からのヒアリングも実施する予定です。さらに、並行して政府内で議論されている外国人の受け入れの基本的な在り方に関する検討とも整合性を確保しながら進められます。

 政府は人口総合戦略の策定に向け、有識者会議などで検討を進めます。骨太方針2026が掲げる年末の策定目標に対し、今回の工程表では2027年1月に策定を配置しており、今後の具体的な日程が注目されます。人口減少が経済の供給制約や社会保障の持続可能性に直結するなか、示された4つの基本方向をいかに実効性ある具体的な施策群へと落とし込み、持続可能な社会基盤を構築できるかが今後の最大の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)