太陽光追尾型発電設備の実証実験を開始、今後の主力になれるか

2013年03月12日 19:54

 オートバックスセブン<9832>が9月から運用を開始すると発表し、ソフトバンクグループで自然エネルギー事業などを行うSBエナジーも、長崎県長崎市に大規模発電所の建設を決定するなど、依然として建設ラッシュがとまらない太陽光発電。技術が確立され普及も進んでいる太陽光発電であるが、この太陽光発電につき、新たな実証実験が開始されている。それが太陽光追尾型発電設備である。

 JNCの子会社である千葉ファインケミカルが、太陽光追尾型発電設備の実証実験を開始すると発表した。QBotix社の技術を日本で初めて導入した太陽光追尾型の発電設備となる。

 同社による技術は、支柱に設置された太陽光発電パネルをロボットが巡回し、パネルの角度を二軸で駆動させ精緻に太陽光を追尾できるもの。従来の一般的な追尾システムと比べて設備が簡便で故障しにくい特長があるという。実証実験は2013年4月に開始し、日本の風土の適否(耐候性)や発電量などから本設備の事業性を検討するものとなる。発電量は二軸の太陽光追尾により、定置型パネルの約1.4倍を見込めるため、再生可能エネルギー法による買取電力価格の変動に対しても有効な発電設備として期待される。

 太陽光追尾型発電設備は、太田市役所に設置され発電を始めるなど、実用化は進んでいる。固定買取制度に伴う買取価格が引き下げられる中、少しでも早く投資を回収するためには発電効率を高めるしかないであろう。その為には、モジュールの性能以外では追尾型が最も有効な手立てなのかもしれない。太陽光発電にばかり偏るのではなく、風力や地熱など、様々な方法にリスクを分散すべきではあろうが、そんな中でも太陽光発電を選択するのであれば、こうした高効率の発電方法をもっと普及させるべきであろう。(編集担当:井畑学)