2013年に入り、テレビ局が軒並み頭を抱えている問題がある。それは、1月の3週目から2月の最終週まで、なんと6週間連続で視聴率が20%を超える番組がなかったことだ。この現象の原因として推測されるのは、若者のテレビ離れが上げられるが、どうもそれだけでもないらしい。近頃は、とくにドラマ系の番組は録画して視聴する傾向が高まっているという。
録画再生率とは、あるテレビ番組をその地区のテレビ所有世帯のうち何%が「録画して後で視聴したか」を表す推定値のことだが、人気ドラマの中には録画再生率が視聴率を上回る例も珍しくない。
ブルーレイやHDDなど、録画AV機器の普及と発展に伴って、「録画して見る」という視聴スタイルが加速した。確かに、録画しておくと、時間に縛られることなく番組を楽しむことができるし、余裕のある時間にじっくりと視聴することが出来る。また、ビデオデッキと違い、CMを飛ばしたり、頭出しも簡単にできるので、時間の短縮や節約にもなり、ドラマそのものを楽しむことが出来るようになった。しかも、録画しても画質が落ちることはないし、必要であればストップしたり巻き戻して確認したりもしやすい。しかし、じっくりと見られる分、クオリティも求められるようになり、安易に作られたドラマは初回から容赦なく切られてしまうというのも現状のようだ。
また、バラエティ系の番組での視聴率が悪いのは、制作側の問題という声もある。チャンネルを変えても、毎日同じような内容の番組ばかり放送されているのにうんざりしているという人も多いようだ。また、過剰なテロップが画面を埋め尽くし、CM明けの煽りの映像が何度も何度も巻き戻しされて繰り返されるのに辟易したという経験は誰にでもあるだろう。そのうえ、泡沫的に現れるお笑い芸人たちが内輪ウケで楽しんでいる姿ばかりが垂れ流されている。これでは、視聴者が離れてしまうのも無理はないのではないだろうか。
とはいえ、視聴率の計測もざっくりとしたものであるのは間違いない。視聴率計測の詳細は極秘扱いとなっていて、詳細は公表されていないが、関東・関西で各600、東海250、他の地区は200世帯をモニターとしてランダムに選出し、それらの家庭に専用の機器を配布して計測しているらしい。サンプル世帯の任期は2年間で、調査中はもちろん、調査対象から外れた後も、調査方法については秘匿するよう誓約させられるという。
一部では、このやり方自体が半世紀前に始まったアナログなもので、デジタルな今の時代にそぐわないとする声も多い。実際、どこまで信用できるかはさておき、動画配信サイトなどの視聴カウントの方が見ていてもリアルだし、現代の視聴者ニーズに即している。未だに、前時代的な視聴率調査の数値に縛られていること自体、時代から取り残され、視聴者を置き去りにしたテレビの未来を暗示しているのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)