2012年の新車販売台数は、前年比27.5%増の536万9721台となり、2年ぶりに前年実績を上回った。東日本大震災の反動やエコカー補助金の効果もあり、4年ぶりに500万台を超えた。これはリーマン・ショック前の2007年の水準も上回る数字だ。
しかし、国内の新車販売台数はバブル真っ只中の1990年以降、一貫して下がり続けている。2013年はエコカー補助金の反動による売上減も懸念される。自賠責保険料の値上がりも、自動車業界にとっては懸念材料だ。
自動車業界が頭を悩ませるのは「若者の車離れ」。社団法人日本自動車工業会の調査によると、大学生の興味関心は以前と比べて多様化しており、車への興味関心は、かつての7位から17位に低下した。
若者は、どうすれば車への興味を取り戻してくれるのか。自動車業界は知恵を絞る。トヨタマーケティングジャパンは2011年、『SAVE THE CAR』と題したコンテストを実施。「クルマを楽しむ」ことをテーマに、mixiなどのソーシャルメディア上で使えるゲームやツールといったアプリのアイデアを募集した。また東京トヨペットは昨年、都内の自動車教習所と連携し、新車や中古車購入時に使えるクーポン券を配布。
ただし、ソーシャルアプリや割引券をもらっただけで、若者が車を買えるようになるとは思えない。ソニー損保が2013年の新成人を対象に行なった調査では、カーライフに掛けられる金額は「月に1万円以内」が過半数。任意保険やガソリン代を考えれば、すぐに超えてしまう金額だ。今の若者は、車の購入金額というより維持費が高すぎるために、車を買えないのではないだろうか。
若者たちに車を買ってもらうためには、小手先のテクニックで車の付加価値を上げることよりもむしろ、「車にかかる維持費を下げる」ことの方が重要なのだ。先の調査でも、約半数の新成人は「車に興味がある」と回答している。興味関心が多様化したとはいえ、車に関心をもつ若者は一定数存在する。「若者の車離れ」を嘆く前に、「若者がなぜ車を買えないのか」をもっと真剣に考えるべきだろう。