【日経平均】東証1部値上がり63銘柄だけで262円安

2013年04月01日 20:34

 3月29日のNYダウは聖金曜日(グッド・フライデー)で休場。ヨーロッパや香港の株式市場は1日も「イースター・マンデー」で休場する。4月1日朝方の為替レートはドル円が94円台前半、ユーロ円が120円台後半で、前週末とほとんど変化していない。新年度初日ということで、全日空<9202>がANAHD<9202>に、日本製紙グループ本社<3893>の「グループ本社」が取れて証券コードも変更されて日本製紙<3863>に、安藤建設<1816>とハザマ<1719>が合併して安藤・間<1719>に変わった。取引時間前に発表された1~3月の日銀短観の大企業製造業業況判断DIは、現状判断が前回の-12から-8に3期ぶりに改善、先行き判断が前回の-10から-1に改善したが、アベノミクス期待で先行き判断がプラスになるという市場予測は下回った。設備投資計画は前回の+6.8が-2.0に悪化したが、これは市場の想定通り。例年4月の最初の営業日は高級建材販売のアドヴァン<7463>と焼肉店チェーンのあみやき亭 による「3月期決算発表一番乗り争い」が兜町の〃春の風物詩〃になっていたが、今年は東証の適時開示情報閲覧サービスで午前7時30分にアドヴァンだけが開示され、残念ながらあみやき亭は一番乗り争いから降りてしまった。

 そんな変化と波乱の予感をはらみながら日経平均は26.57円安の12371.34円でスタート。その後は日銀短観が期待はずれだったようで下げ幅が一時100円を超え12300円をはさんでもみあう展開。午前10時に中国の製造業PMIが出て、前回の50.1から50.9に改善したものの市場予測を下回ったあたりから下げが加速した。TOPIXの前場の下げが1%を超えたので後場はETF買い入れの「日銀砲」発射かと思いきやそんな様子もなく、大引けにかけてさらに売り込まれて12200円も割り込み、日経平均終値は262.89円安の12135.02円まで下げてしまった。TOPIXの下落幅はさらに悪く-34.14の1000.57と何とかギリギリで4ケタ確保。売買高は28億株でも売買代金は2兆円に乗せたが、東証1部の値下がり銘柄1630に対して値上がり銘柄はわずか63しかなく、東証2部もマザーズもジャスダックも東証REIT指数もことごとく下落という、最近まれにみる全面安の日になった。海外投資家のイースター休暇に日銀の金融政策決定会合前の様子見が加わったとはいえ、まさに「春の嵐」のような下げ方だった。

 当然、業種別騰落率は全業種がマイナス。下げ幅が小さかったのは保険、電気・ガス、精密機器、鉄鋼、電気機器などで、下げ幅が大きかったのは陸運、証券、海運、倉庫、銀行などだった。

 前週のヒーロー、ソフトバンク<9984>は前場でプラスの時間帯もあったが終値は85円安で6日ぶりの反落。ファーストリテイリング<9983>は値動きなしと踏ん張ったが、3月期決算の営業利益が予想より上乗せという報道が出たトヨタ<7203>でも寄り付きの高値を維持できず100円安、ホンダ<7267>が95円安、信越化学 が260円安、武田 が250円安、デンソー<6902>が220円安、セブン&アイHD が156円安というように主力株が軒並み3ケタ安では大幅安も致し方ない。大手金融株も大手不動産株もほぼ全滅。その中で130円高の東京エレクトロン<8035>の健闘が目立った他、アドバンテスト<6857>、スズキ<7269>、TDK<6762>、ミツミ<6767>などが小幅ながら株価を上げていた。図書印刷 が17円高で値上がり率3位、売買高6位にランクイン。ニトリHD<9843>が2014年2月期の増収増益予想が好感されて100円高で年初来高値を更新し、ホームセンターのアークランドサカモト<9842>が93円高で値上がり率4位に入るなど、小売の一部に元気な銘柄が見られた。

 今日の主役は東京電力<9501>。11円高で年初来高値を更新し、2011年10月以来の高値になった。売買も売買高1位、売買代金1位でみずほ<8411>をも上回っている。材料は4月からの電気料金値上げよりも日立<6501>と共同出資の送配電会社を4月1日付けで発足させたことや、2013年度の事業運営方針で1000億円規模の追加コスト削減を行うこと、広瀬直己社長が午後の記者会見で「2014年3月期はありとあらゆる手段をとって必ず黒字化する」と見得を切ったことなど。東電株はもはや昔のような資産株でも高配当利回り株でもなく、材料を手がかりに短期の利ざや稼ぎの買い、売りが集まるトレーディング銘柄になっている。(編集担当:寺尾淳)