今週の振り返り 素直にはいかない株主権利確定イベント通過

2013年03月30日 19:14

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権利付き最終日、配当落ち日、日銀砲にドレッシング買い年度末スペシャルと退屈しなかった週

 権利付き最終日、配当落ち日、日銀砲にドレッシング買い年度末スペシャルと退屈しなかった週

 前週末22日のNYダウは90ドル高で21日の下落分のピタリ全額戻し。キプロスは横に置いておいてティファニーとナイキの好決算で買われた。高級宝飾品とスポーツ用品で元気づくところがアメリカらしい。キプロス問題はブリュッセルでキプロス大統領とEU大統領の間で金融支援条件について詰めの協議が行われ、東京市場の取引開始直前にようやくEU、ECB、IMFからの支援策の大筋がまとまった。そのニュースを受け25日朝方の為替レートはドル円が94円台後半から95円近辺に、ユーロ円が123円近辺から123円台半ばへ円安が急進した。日経平均は169.08円高の12507.61円と12500円台を回復して始まり、22日の下落幅の56%でほぼ半値戻し。しかし前場は12500円をはさんで上げたり下げたり。それでも後場は12550円を超える一段高でのもみあいで、午後2時台には12600円に迫って終値は207.93円高の12546.46円だった。TOPIXの上げ幅は+8.72と抑えられ終値は1047.29だった。売買高は26億株、売買代金は2兆円を割り、3月期決算企業の権利付き最終売買日を翌日に控え、やや控え目だった。

 東証33業種別騰落率の上位はその他金融、不動産、小売、石油・石炭、食料品などで、マイナスになった業種は海運、空運、非鉄金属の3業種に限られた。

 25日のNYダウは64ドル安。一時は117ドル安になり、キプロス問題がまだ尾を引いている。ユーロ圏財務相会合の議長を務めるオランダのデイセルブルム財務大臣が「キプロスのケースは他国のひな型になる」とサプライズ発言。あわてて「特殊なケースだ」と言い直したが、口から先は世間で後悔先に立たず。大口預金者に負担を求めるのはキプロスに限った話ではないらしいという危惧で資金がユーロから円に逃避し、26日朝方の為替レートはドル円が94円近辺、ユーロ円が121円近辺と大きく円高に振れた。

 それでも、3月期決算企業の権利付き最終売買日を迎えた日経平均は84.67円安の12461.79円と、下げてもそれほど大幅ではなく始まる。黒田日銀総裁が国会に呼ばれて衆議院で改めて所信を述べて安心感がひろがったこと、円高が止まって少しだけ円安に戻したこともあり、下げ幅を圧縮して12500円台に定着。後場は途中、12456円まで下げる場面もあったが、TOPIXがまず切り返して2時30分頃から時々プラスになる場面もあり、日経平均も12500円台に乗せてこのまま終えるかと思われた。

 2時台のTOPIXの上昇は、翌日の配当落ち分を修正するために投資信託などが行う「再投資買い」とみられ、TOPIX先物に買いが入った。押し上げ効果は約9ポイント分という観測だった。

 ところが、最後の最後のどんでん返しで日経平均が急落し、終値は74.84円安の12471.62円に。株式市場には魔物がすみ、結果はゲタをはくまでわからない。値上がり銘柄774銘柄、値下がり銘柄831と僅差だったため、TOPIXのほうの終値は-2.87の1044.42と小幅安だった。売買高は29億株で売買代金は2兆円を超えたが、権利付き最終日で需給が需要に傾くはずなのに配当・権利取りの盛り上がりはいまひとつ。本来なら上昇するはずの日に下落して12500円を割り込んだため、3月末に日経平均が13000円をオーバーする「甘利越え」は、何かサプライズでもなければ厳しい情勢になってきた。

 上昇したセクターは電気・ガス、食料品、陸運、その他金融、医薬品、情報・通信など。下落したセクターは空運、海運、ゴム、鉄鋼、鉱業、石油・石炭、証券などだった。

 26日のNYダウは経済指標の好調さを好感し111円高で終値の史上最高値更新。未体験ゾーンでの〃宇宙旅行〃がまた始まった。27日朝方の為替レートはドル円が94円台後半、ユーロ円が121円台後半で前日よりも円安が進んでいた。27日は「実質新年度入り」とも言われる3月期決算企業の権利落ち(配当落ち)の日で、それによる下落幅は日経平均ベースで85~90円のレンジと想定された。埋めきれるか注目された日経平均は4.96円高の12476.58円で始まり、全額を埋めてのスタート。しかし、12500円にタッチしてもすぐマイナスに振れ、前場から後場まで、日経平均もTOPIXも前日終値をはさんでもみあう動きがずっと続いた。為替やアジア株など外部環境は落ち着いていても、来週の日銀の金融政策決定会合待ちや、イタリアで政党間の政権合意ならずユーロ圏の先行き不透明感が増した事情もからんでいる模様。それでも大引けではがんばり日経平均は22.17円高の12493.79円、TOPIXは+2.05の1046.47と、ともに終値はプラスだった。売買高は24億株、売買代金は2兆円割れでやはり低調。それでも配当落ち分を即日埋められたのは2009年以来4年ぶりだった。ゴルフで言えばハンデを加算されてスタートしたようなものなので、ハンデを全部取り返しアンダーパーでホールアウトする手堅いスコアメイクなら相場は相当強い、という解釈もできる。

 この日、上昇した業種は不動産、ゴム、鉱業、その他金融、鉄鋼など。ゴム大手は12月決算企業が多いので配当落ちの影響が小さい。下落した業種は空運、保険、水産、卸売、その他製品などだった。