NYダウは経済指標の好調さを好感し111円高で終値の史上最高値更新。未体験ゾーンでの〃宇宙旅行〃がまた始まった。27日朝方の為替レートはドル円が94円台後半、ユーロ円が121円台後半で前日よりも円安が進んでいた。27日は「実質新年度入り」とも言われる3月期決算企業の権利落ち(配当落ち)の日で、それによる下落幅は日経平均ベースで85~90円のレンジと想定された。埋めきれるか注目された日経平均は4.96円高の12476.58円で始まり、全額を埋めてのスタート。しかし、12500円にタッチしてもすぐマイナスに振れ、前場から後場まで、日経平均もTOPIXも前日終値をはさんでもみあう動きがずっと続いた。為替やアジア株など外部環境は落ち着いていても、来週の日銀の金融政策決定会合待ちや、イタリアで政党間の政権合意ならずユーロ圏の先行き不透明感が増した事情もからんでいる模様。それでも大引けではがんばり日経平均は22.17円高の12493.79円、TOPIXは+2.05の1046.47と、ともに終値はプラスだった。売買高は24億株、売買代金は2兆円割れでやはり低調。それでも配当落ち分を即日埋められたのは2009年以来4年ぶりだった。ゴルフで言えばハンデを負ってスタートしたようなものなので、ハンデを全部取り返しアンダーパーでホールアウトする手堅いスコアメイクなら相場は相当強い、という解釈もできる。
この日、上昇した業種は不動産、ゴム、鉱業、その他金融、鉄鋼など。ゴム大手は12月決算企業が多いので配当落ちの影響が小さい。下落した業種は空運、保険、水産、卸売、その他製品などだった。
金融関連は5年ぶりのボーナス増額を発表したみずほ<8411>は1円安、三菱UFJ<8306>は2円高、三井住友FG<8316>は20円安、野村HD<8604>は4円高で、あおぞら銀行<8304>は18円安で値下がり率3位だった。「その他金融」のオリコ<8585>は8円高、アイフル<8515>は33円高で相変わらず売買は活発。金融緩和期待で不動産は好調で、三井不動産<8801>は93円高、三菱地所<8802>は85円高、住友不動産<8830>は55円高、東京建物<8804>は37円高、平和不動産<8803>は135円高で、昨年来高値更新が続出した。連日ランキング入りする不動産ファンドのケネディックス<4321>はストップ高で3日続伸し、この日も値上がり率3位と売買代金2位。東証REIT指数は5日続伸している。2015年度に最終利益260億円達成を目指すという中期経営計画を発表したJPX<8697>は360円高で上場来高値を更新した。なお、7円高の東京電力<5201>が売買高2位で久々にランキングに顔を見せ、電気料金値上げ幅の圧縮を発表した関西電力<9503>は48円高、九州電力<9508>は33円高だった。
前日にガンホー<3765>買収を材料に買われたソフトバンク<9984>は売買代金1位、290円高で3日続伸と絶好調。プラス寄与度1位になり日経平均を34円押し上げた。丸紅<8002>からのダイエー<8263>株の取得と子会社化を正式に発表したイオン<8267>は73円高で昨年来高値更新。一方、ダイエーはTOB価格に合わせる31円安で値下がり率2位に沈み、丸紅も11円安だった。米倉弘昌経団連会長のおひざ元の住友化学<4005>はサムスン電子のスマホ向けに韓国の工場でタッチパネルを3倍増産というニュースで買われ20円高。パナソニック<6752>は28日発表の中期経営計画への期待感で35円高だった。前日大引け間際にストップ高まで急騰したNECモバイリング<9430>はこの日も制限値幅上限いっぱいに張り付いてストップ高比例配分の940円高で値上がり率3位。〃子離れ〃する親のほうのNEC<6701>は2円安だった。
輸出関連株は、トヨタ<7203>は10円安、ソニー<6758>は9円高、ホンダ<7267>は20円高、キヤノン<7751>は30円高、信越化学<4063>は110円安、京セラ<6971>は60円安、ダイキン<6367>は35円安と高安まちまち。悪かったのが医薬品で、武田<4502>とエーザイ<4523>が60円安、アステラス製薬<4503>が50円安、塩野義製薬<4507>が28円安、第一三共<4568>が26円安と主力株が売り込まれた。高配当利回り銘柄が多い業種だけに、配当落ちの日はやはり鬼門なのか。
軒並み不調に陥ったのがゲーム関連銘柄で、スクエニHD<9684>は118円安で昨年来安値を更新し値下がり率1位。「ドラクエ10」の不振で3月期業績予想を初の営業赤字、最終赤字130億円に下方修正しては和田洋一社長の引責辞任も致し方なし。値動きなしのガンホーと好対照で、ゲームは当てると大きいが、外してもまた大きい。グリー<3632>は36円安、DeNA<2432>は111円安、コナミ<9766>は59円安だった。
この日の主役は東証1部に直接新規上場したタマホーム<1419>。公開価格980円に対して1700円の初値がつき、終値は1630円だった。公開価格に対して66%の上昇は22日に新規上場したブロードリーフ<3673>の37%を大きく超え、上場初日から売買代金ランキング7位に入った。注文住宅を安く建てる非分譲系パワービルダーで、売上高1696億円の「遅れてきた大物」。3月13日に同業のパワービルダーで11月に経営統合する一(はじめ)建設<3268>など通称「飯田グループ」6社が一斉に買われて値上がり率ランキングがお祭り騒ぎになったのも記憶に新しく、12月に上場した全国保証<7164>、15日に上場した鴻池運輸<9025>、ブロードリーフと東証第1部直接上場の先輩銘柄が上場当日か2日目に株価が急騰し市場関係者を驚かせたことを考え合わせると、この人気も驚くに値しないだろう。(編集担当:寺尾淳)