河野太郎自民党副幹事長は野田政権時代の昨年9月に自身のブログで「野田内閣がなぜ、原発を次々再稼動させようとしているのか」と疑問を提起したうえで「原発を再稼動させないと電力会社の経営が破綻に直面するからだ」とし、廃炉を決定した際の平成23年度末で損失合計から純資産を差し引くと、東京電力、北海道電力、東北電力、日本原電は債務超過になると指摘。各電力会社には「廃炉でも破綻しない経営の抜本的な立て直しが」求められている。
河野氏の説明によると、各電力会社の平成23年度末での純資産から廃炉を決定した場合に各社が損失として計上するべき金額(引当金不足額+完成核燃料簿価+装荷核燃料簿価+原子力発電設備残存簿価から廃炉引当金以外の引当金を除いた金額の合計)を引き、その差額(マイナスは債務超過)をみると、電力3社と日本原電は債務超過になるとしている。
また、原子力発電施設解体引当金の説明を行ったうえで「稼働率が低い原発は本来引き当てるべき引当金よりも、年度末に引き当てる金額のほうが少なくなるため、問題が大きい原発ほど、40年を超えて稼働させないと、引き当てが過小になり、廃炉にするときに損失を計上しなければならなくなる」とし、そのうえで「ほとんどの原発は稼働率76%を下回っているため、40年で廃炉にすると引き当てが足らなくなり、電力会社は損失を出すことになる。だから40年での廃炉を電力会社はむやみといやがる」と紹介している。エネルギー政策の転換を図るうえでの課題は安倍政権の下でもかわりないため、河野氏指摘の課題はそのまま続いている。
政府は全ての原発について3年以内に再稼動可否の結論を出す計画だか、再稼動できないことを前提とした再生可能エネルギーの導入促進や省エネ推進の取り組みが求められている。
河野氏が紹介している数字は以下の通り。
損失合計 純資産 差額
北海道 3790億円 2797億円 -993億円
東北 4970億円 4769億円 -201億円
東京 11495億円 5274億円 -6221億円
中部 3972億円 13447億円 9475億円
北陸 3135億円 3197億円 62億円
関西 6318億円 11835億円 5517億円
中国 1533億円 5146億円 3613億円
四国 1784億円 2830億円 1046億円
九州 4407億円 7667億円 3260億円
日本原電2559億円 1626億円 -933億円
9電力 41404億円 56962億円 15558億円
10社 43963億円 58588億円 14625億円(編集担当:森高龍二)