今週の振り返り 振幅が1420円もあった「春の嵐」の週

2013年04月06日 20:02

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週初2日はつまずくが異次元金融緩和の「黒田バズーカ砲」が炸裂して一気に「甘利越え」も

 週初2日はつまずくが異次元金融緩和の「黒田バズーカ砲」が炸裂して一気に「甘利越え」も

 3月29日のNYダウは聖金曜日(グッド・フライデー)で休場。ヨーロッパや香港の株式市場は1日も「イースター・マンデー」で休場する。4月1日朝方の為替レートはドル円が94円台前半、ユーロ円が120円台後半で、前週末とほとんど変化していない。取引時間前に発表された1~3月の日銀短観の大企業製造業業況判断DIは、現状判断が前回の-12から-8に3期ぶりに改善、先行き判断が前回の-10から-1に改善したが、アベノミクス期待で先行き判断がプラスになるという市場予測は下回った。設備投資計画は前回の+6.8が-2.0に悪化したが、これは市場の想定通り。

変化と波乱の予感をはらみながら1日の日経平均は26.57円安の12371.34円でスタート。その後は日銀短観が期待はずれだったようで下げ幅が一時100円を超え12300円をはさんでもみあう展開。午前10時に中国の製造業PMIが出て、前回の50.1から50.9に改善したものの市場予測を下回ったあたりから下げが加速した。TOPIXの前場の下げが1%を超えたので後場はETF買い入れの「日銀砲」発射かと思いきやそんな様子もなく、大引けにかけてさらに売り込まれて12200円も割り込み、日経平均終値は262.89円安の12135.02円まで下げてしまった。TOPIXの下落幅はさらに悪く-34.14の1000.57と何とかギリギリで4ケタ確保。売買高は28億株でも売買代金は2兆円に乗せたが、東証1部の値下がり銘柄1630に対して値上がり銘柄はわずか63しかなく、東証2部もマザーズもジャスダックも東証REIT指数もことごとく下落という、最近まれにみる全面安の日になった。海外投資家のイースター休暇に日銀の金融政策決定会合前の様子見が加わったとはいえ、まさに「春の嵐」のような下げ方だった。

当然、業種別騰落率は全業種がマイナス。下げ幅が小さかったのは保険、電気・ガス、精密機器、鉄鋼、電気機器などで、下げ幅が大きかったのは陸運、証券、海運、倉庫、銀行などだった。

イースター休暇明けの1日のNYダウは5ドルの小幅安。2日朝方の為替レートはドル円が93円台前半、ユーロ円が119円台後半と円高が進行。日経平均は83.45円安の12051.57円で始まったが、数分で急落して300円を超える下げ幅の11805円まで下げた。その後は戻して前引けで27円安の12107円まで上昇したが、挑発的な発言を繰り返す北朝鮮がらみの「有事の円買い」とみられる動きで為替が約1ヵ月前の水準のドル円92円台後半まで動いたため、後場は12000円をはさんで一進一退の展開に。終値は131.59円安の12003.43円で、かろうじて12000円台を維持できた。もっとも、TOPIXのほうは日経平均より堅調で、終値は-9.23の991.34と1000の大台は割っても大崩れした印象はない。値上がり銘柄数も前日の63から467に増えていた。売買高は37億株で売買代金は3月15日以来の2兆5000億円超えと、商いは活発だった。
 
 上昇した業種も不動産、その他金融、銀行、空運、証券、小売、倉庫、海運と8業種あった。下落幅が大きかった業種は鉄鋼、電気・ガス、パルプ・紙、輸送用機器、非鉄金属、石油、保険で、円高進行を背景に輸出関連銘柄中心に売られていた。
 
 日経平均が連日200円以上も動いて荒れる「春の嵐」で、日経平均もTOPIXも、昨年11月以来の上昇相場で「最後の防衛線」の役割を果たし、一度も割らなかった25日移動平均線をついに下回った。日経平均が2日で394円も下落した要因として、3日からの日銀の金融政策決定会合について緩和策の先送り報道まで出て気をもませていること、アジア市場の軟調、新年度入りで国内機関投資家の利益確定売りが出た、海外ヘッジファンドの決算対策売り、持ち高調整、ポジション調整など「調整含み」、海外勢が先物に投機的な売りを入れているなどいろいろ解説されていた。ただ、市場関係者の間では「真っ暗だった前日と比べると、光がいくつか差している」という見方だった。

 2日のNYダウは2月の製造業受注額の5ヵ月ぶりの高い伸びなどを受け89ドル高で再び史上最高値を更新し、今や世界で一つだけの好調市場。3日朝方の為替レートはドル円が93円台前半、ユーロ円が119円台後半で、前日夕方から少し円安。日経平均は108.66円高の12112.09円と3ケタの反発でスタート。午前9時9分にファーストリテイリング に2200円の始値がつくと日経平均は一瞬で200円高・12200円台に乗せ、遅れてTOPIXも1000台を回復した。前場で12200円台に定着し、後場は内需系の後を追って輸出関連にも買いが入って12300円台にも乗せた。東京の強い風雨とは逆に、2日続いた乱高下の「春の嵐」がおさまって陽気が戻り、日経平均終値は358.77円高の12362.20円で高値引け。4月1日、2日の2日間で394円も下げた分の約9割をこの日だけで取り戻した。終値は前日に割り込んだ25日移動平均線だけでなく、5日移動平均線よりも上に出た。値上がり銘柄が全体の約86%の1470もある全面高で、TOPIXは+19.09の1010.43。売買高は31億株、売買代金は2兆3393億円だった。

 下落した業種は鉄鋼とパルプ・紙の2業種のみ。値上がり率の小さい業種は保険、その他金融、ガラス・土石、繊維など。一方、値上がり率が高かった業種は陸運、輸送用機器、ゴム製品、電気・ガス、医薬品、食品、小売などで、輸出関連も内需系も混在していた。