燃費効率が最大25%も上昇した省エネ航空機

2013年04月18日 18:45

 今夏に初飛行を行なうといわれている新型航空機「エアバスA350XWB」。エアバス社曰く、この機体は「全く新しい、妥協のない21世紀の設計技術」で製作されたもので、最新の航空力学やシステムを投入した革新的な航空機だという。同社はこの市場分野で最も進んだ航空機になると自負しており、高い経済性を実現し、幅広いマーケットの要望に応えられると自信を覗かせている。さて一体、どんな機体か。

 エアバスA350の開発プロジェクトがスタートした当初から「ボーイング787」および「ボーイング777」に対抗する機体として注目されたが、発注数で競合機に及ばず、設計のやり直しを余儀なくされた。その後、何度も試行錯誤を繰り返して、今夏ようやく世に送り出されるというわけだ。

 エアバス社の意地の結晶ともいえるエアバスA350は、同社がいうように、数多くの最新技術と工夫がなされており、確かに魅力的な機体となっている。A350XWBには、空港ナビゲーション・システム、乗客の快適性や滑走路の使用に配慮したブレーキ・システムなど、A380で採用されて好評を得ているシステムをもとに開発された最先端の機能が余すところなく搭載されている。

 しかし、それより何より、航空会社に対しての大きなアピールポイントは、既存の航空機に比べて1座席あたりの燃費が最大25%も向上している点だろう。高騰する燃料費に頭を抱える航空会社としては、この驚異的な燃費削減率は非常に大きな魅力として映るに違いない。

 燃費軽減の最大の功労者は、機体の53%に採用されている複合材と、胴体部分に使用されている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)だ。新しい複合材で作られた主翼は、A380と同じマッハ0.85の巡航速度で飛行することを可能にしながら、優れた空力特性と最新システムによって、燃費効率を大幅に高めることに成功している。また、最適な繊維レイアップと外板の厚みによって、軽量化も実現した。

 エンジンには、ロールス・ロイス社製の最新エンジン「トレントXWB」を搭載。このトレントXWBは、最新鋭の低騒音や低排ガス技術を採用しつつ、従来機から大幅な燃費効率改善を実現する、話題の次世代型エンジンだ。また、フライ・バイ・ワイヤを採用している他のエアバス機との運航共通性を持っていることも、航空会社にとっては大きなメリットだ。操縦やコックピット仕様が共通しているので、パイロットの機種間移行訓練が省略出来る。同時に他機種を運航させることも可能になる。さらには、整備間隔も現行機種より長く取れるなど整備コストの面でも優れており、運航の生産性を上げることができるようになることで、経済性も20%程度向上するとみられている。

 設計段階から、何度も見直しが繰り返され満を持しての登場とあってエアバスA350XWBは、なかなか期待できそうな機体のようだ。今夏、いよいよ、ボーイング787ドリームライナー、ボーイング777との直接対決。果たして、エアバスの翼が世界の空を席巻するのか。注目したいところだ。(編集担当:藤原伊織)