19世紀後半、ちょうどモーターの発明と時をほぼ同じくして、世界初の電気扇風機がアメリカで発売された。それ以来100年余りの間、扇風機は夏の暑さから我々を守ってきた。エアコンの登場とともに影は薄れたものの、日本では一昨年の震災以降、とくに節電意識が高まっていることもあり、扇風機の需要が増えている。
それにつれて、約一世紀もの長きに渡って変わらなかった扇風機の形も少し変化が現れた。ダイソンの「羽の無い」扇風機をはじめ、羽がいくつもついた扇風機など、少しでも快適な風を求めて試行錯誤が繰り返されている。
そんな中、羽根を2重構造にすることで、送り出した風を拡散し、自然な風を作り出すことに成功した扇風機がある。それが、バルミューダの「GreenFan」シリーズだ。一見すると、シンプルな普通の扇風機。ダイソンの羽の無い扇風機のような近未来的な奇抜なインパクトは無い。しかし、よく見てみると、大きな羽の中に小さな羽根の輪が重なるようになった2重構造の羽を持っていることが分かる。これがバルミューダの特許技術、グリーンファンテクノロジー。風速の違う風をわざと作り、それをぶつけ合うことで風の渦成分を無くし、面で移動する風に変えて大きく拡散させるという。
旧モデルが2010年に発売されて以来、扇風機の風とは思えない自然な風と評判を呼び、口コミでも徐々に人気が高まっている。その「GreenFan」シリーズの今夏の最新モデル「GreenFan2+ EGF-1200」「GreenFan mini EGF-2100」の2機種が発表された。
羽の形状もさることながら、今回の「GreenFan2+」で特筆すべきはそこではない。圧倒的な省電力性能だ。従来の一般的な扇風機は「弱」運転でも約30Wの消費電力で動いているが、この「GreenFan2+」はその15分の1。わずか2Wで動くのだ。バルミューダではこれを「豆電球4つ分」と例えている。最大運転時でも17W。これでも、一般的な扇風機の約半分の消費電力だから、驚きである。しかも、「GreenFan mini」ならば1Wというから、ほとんど電気を使わないようなものだ。
「GreenFan2+」を弱運転で1日8時間、毎日使用しても、1ヵ月の電気代は約13円程度。電気代を気にしなくて使えるほど、省エネで経済的。本体価格は一般的な扇風機と比べると少々高額だが、扇風機の寿命が約5年~10年と考えると、そう高い買い物ではないかもしれない。今年の夏は、地球にも身体にも優しい風が注目されるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)