TPPの参加表明に向け農業ビジネスの共同出資会社が設立

2013年04月25日 20:32

 日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加表明に伴い、コメを含む重要5農産品の関税撤廃や関税の引き下げが懸念されている。海外の低価格農産物に対抗できる日本の農業の競争力強化が課題となっており、政府は農業を成長産業と位置づけ、農林水産省も農業の6次産業化を促進するなど具体的な対策を必要としている。

 そのような中、宮城県仙台市に、製造技術と全国への販路を持つ生活用品製造卸のアイリスオーヤマと、野菜やコメの生産販売のノウハウを持つ農業生産法人舞台ファームの強みを掛け合わせた精米事業の会社精米事業の共同出資会社「舞台アグリイノベーション」を本年4月末に設立。新会社は農商工連携による復興支援を目的として、農業の競争力を高める農業改革(アグリイノベーション)を実施。農業改革をすることにより、農家にとって“適正利益を得られる安定事業”となる農業ビジネスを確立させる。これにより、被災地を中心とした若者のビジネス参入の機会を提供し、これまで農作物として位置づけられてきた“製品”としてのコメを“商品”に変えることで、TPPに影響されない農業のビジネス化を目指す。

 具体的には、若手大規模農業後継者に対して作付け等の営農指導、全量買付保証をするほか、低価格での肥料等も提供。精米工場ではコメを低温精米・低温保存し3合ずつの小分けパックに袋詰めし、鮮度を保つパッケージでコメの品揃えをすることで、全国のスーパー・ホームセンター・CVS・外食チェーンなどへの幅広い導入を見込む。また契約農家の募集は2013年4月から随時進め、2014年2月から精米・販売開始の予定。初年度売上は16億円、2014年は50億円、2015年は100億円を目標とするという。

 TPPへの参加表面により、日本の農業関係者の不安は募るばかりである。しかし、舞台アグリイノベーションのように、国内拠点の拡大や海外への輸出も視野に入れ、若手農業後継者の育成とビジネスモデルの構築によって日本の農業を世界に誇るビジネス産業に変えていく、そんな意気込みのある事業を行うべく様々な企業や団体が、新たな試みに挑戦していくことに期待したい。(編集担当:宮園奈美)