【主要企業決算】外食産業の行方とは

2013年04月29日 15:10

 ユニークな個室居酒屋を数多く展開してきたダイヤモンドダイニング<3073>の売上高は7.7%増の250億円、営業利益は22.5%減の6.9億円、最終利益は64.2%減の7700万円だった。従来の「マルチコンセプト(個店主義)」戦略を「マルチ(複数)ブランド」戦略へ切り替え、多くの店舗の業態変更やスクラップ&ビルドでブランド集約を図ったために減損損失が拡大し最終利益が大きく減少した。今期の見通しは、売上高は2.9%減の243億円、営業利益は26.1%減の5.1億円、最終利益は124.8%増の1.7億円。年間配当は2500円で据え置き。戦略変更の影響はなお続くが、新規出店予定は14店舗、退店予定の12店舗中10店舗は減損損失を前期に前倒しで計上しているので、減損損失が少なくなり最終利益はV字回復するとしている。

 ファミリーレストラン「デニーズ」「ファミール」を展開するセブン&アイHD<3382>のフードサービス事業の営業収益は0.4%増の783億円、営業損益は7億円(前々期は95億円の赤字)だった。セブン&アイ・フードシステムズのレストラン事業は新規出店は12店舗でも総店舗数は10店舗減少したが、既存店売上高は震災に伴う営業時間短縮の影響がなくなり、主力メニュー強化や接客向上などを図ったことで0.8%伸びた。商品粗利率も0.7%伸びている。今期の見通しは、営業収益は0.8%増の790億円だが、営業利益は194.0%増の14億円。10店舗を新規出店し、レストラン事業の既存店売上高を1.6%伸ばす計画。

 ラーメン店「日高屋」を展開するハイデイ日高<7611>の売上高は7.7%増の295億円、営業利益は11.8%増の36億円、最終利益は24.8%増の20.2億円で10期連続で最高益を更新した。23店舗を新規出店した他、提供する生ビールを300円に値下げしたことが客数増、既存店売上高1.7%増に貢献し、原材料費や光熱費の上昇を吸収した。今期の見通しは、売上高は6.7%増の315億円、営業利益は1.4%増の37億円、最終利益は1.9%増の20.8億円。年間配当は1円増配して36円。既存店売上高は横ばいの計画でも、新規出店33店舗のうち20店前後を上期に出店して大きな新店効果が出る。その増収効果で食材加工工場増設による減価償却負担を吸収して最高益を更新できると見込んでいる。

 長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」、とんかつ、卓袱料理の「浜勝」を展開するリンガーハット<8200>の売上高は1.1%増の350億円、営業利益は3.7%増の13億円、最終損益は6.3億円の黒字(前々期は4.2億円の赤字)だった。リンガーハットは前々期のメニュー・価格改定が客離れを招いたが低価格メニューの投入で回復し、浜勝は4.0%増で全体の既存店売上高は2.0%減だった。今期の見通しは、売上高は4.1%増の182億円、営業利益は25.6%増の17億円、最終利益は26.5%増の80億円。年間配当は10円で据え置き。500円の低価格新メニューを投入し、新規出店を前期の46店舗から60店舗に増やして攻勢に出る。

 持ち帰り弁当店チェーン「ほっともっと」「やよい軒」を展開するプレナス<9945>の売上高は11.4%増の1415億円、営業利益は3.2%増の64億円、最終利益は48.3%増の29億円だった。新規出店は近畿・東海エリアを中心に190店舗で、96店舗を改装・移転するなど積極的にリフレッシュ。韓国にも初出店した。既存店売上高も堅調で3期連続増収増益。今期の見通しは、売上高は8.3%増の1533億円、営業利益は11.2%増の72億円、最終利益は44.5%増の42億円。年間配当は50円で据え置き。新規出店は146店舗で4期連続の増収増益を見込んでいる。