消費庁はJAS法に基づく加工食品の原料原産地表示の企画立案を具体的に検討するため、広く国民から意見を聴取することにし、消費者庁担当官と国民との意見交換会を3月29日に都内港区の三田共用会議所で持つことになった。
加工食品の原料原産地表示では原料原産地が頻繁に変わるようなケースでの切り替え対応や物理的スペースの制約、原料原産地情報が分からない輸入中間加工品の扱いなど課題が多く、厚生労働省と農林水産省の共同会議でも、原産地が頻繁に変わるケースへの対応では原産地がA国、B国、C国とあった場合、全てを表示したとして、実際には2カ国からのものしか使用していないケースもあり、この場合には商品内容と表示内容に不整合が生じる可能性が出てくる、とか、大括り表示で「輸入」と表示した場合にはどの国のものかを知りたいという消費者の期待に応えられないなどの課題があると問題点が示されている。
また、消費庁には、削りぶしの原料かつおふしの産地表示についてもその産地表示の根拠となる場所がどこがよいのか。「かつおの漁獲場所」、「かつおを処理し、なまり節にした場所」、「なまり節をくん乾し、ふしにした場所(削りぶし品質表示基準の原産地)など、消費者にとってどの設定が良いのかも、今回の意見交換会で情報を得たい意向だ。
原料原産地表示については、福島みずほ消費者・食品安全・少子化対策担当大臣が党首をつとめる社会民主党は昨年の総選挙で、選挙公約のひとつとして「食の安全・安心に向けて、全ての飲食料品に流通経路を明確にするトレーサビリティを導入し、外食など原料原産地の表示を義務化すること」をあげ、民主党も「原料原産地などの表示の義務付け対象を加工食品などに拡大する」と公約してきた。実際に、中国産野菜に対する不信が広がった数年前より、外食先での食品の原料原産地表示を希望する消費者は確実に増えており、外食など原料原産地の表示の義務化への要望は高くなっている。
(編集担当:福角やすえ)