【日経平均】前日終値をはさんでもみあい23円の小幅安

2013年05月14日 20:08

 NYダウは26ドル安。アメリカの4月の小売売上高はマイナスの予測に反してプラスだったが、11日付ウォール・ストリート・ジャーナルの「FRBがQE3の出口戦略を検討」という記事が影響して終始売り優勢だった。14日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が132円台前半で前日とあまり変わらない水準だった。
 
 記録的大商いの翌日で一服も予想された日経平均は40.35円高の14822.56円で始まったが、午前9時台後半には前日終値を割り込んだ。その後は14800円台を回復したが、後場は再びマイナスに沈んだかと思えば押し目買いも旺盛でプラスとマイナスの間を行ったり来たり。しかし結局、終値は23.79円安の14758.42円で3日ぶりの反落となった。それでも小幅安で今週中の15000円チャレンジには差し支えない水準。TOPIXは-1.40の1230.80。指数はマイナスでも値上がり銘柄832は値下がり銘柄782よりも多い。売買高44億株、売買代金3兆4047億円で、前日の大商いの余韻が残っていた。
 
 セクター別では、電気・ガス、パルプ・紙、鉱業、石油・石炭、建設、情報・通信などが値上がり上位、不動産、その他金融、銀行、倉庫、証券、ゴムなどが値下がり上位だった。
 
 電力と電気機器は主力銘柄の上昇が目立った。安倍首相の「(賠償、廃炉処理の)責任を全て東京電力に押しつけるのは間違い」発言を受けて東京電力<9501>は売買高2位、売買代金1位と買いが集中し、ストップ高の80円高で年初来高値を更新し値上がり率10位に入った。関西電力<9503>も164円高で値上がり率18位と買われていた。電気機器は日立<6501>が25円高、ソニー<6758>が22円高、パナソニック<6752>が46円高。大引け後に決算と中期経営計画を発表したシャープ<6753>も25円高で7日続伸した。最終赤字5453億円は前々期を上回る巨額だが、首脳陣を一新して出直しを誓う。同じく巨額最終赤字のルネサスエレクトロニクス<6723>もストップ高の80円高で値上がり率5位。一方、ファナック<6954>は250円安と売られ日経平均を10円引き下げた。自動車は軟調で、トヨタ<7203>は70円安、ホンダ<7267>は45円安。ブリヂストン<5108>も60円安だった。
 
 情報・通信ではソフトバンク<9984>は120円高で日経平均を14円押し上げ、KDDI<9433>は80円高。ゲーム関連はガンホー<3765>は3日続伸し、スマホ向けゲームが好調で三菱UFJ証券が投資判断を引き上げたコナミ<9766>が279円高で日経平均を11円押し上げた。DeNA<2432>、グリー<3632>も下値拾いで買われていた。
 
 決算がらみでは、今期業績見通しが営業最高益更新の東洋インキSCHD<4634>は19円高で年初来高値更新で、経常最高益更新の日揮<1963>は55円高。反対に牛丼店の競争激化で営業益3割減だったゼンショーHD<7550>は11円安になった。大手ゼネコンは鹿島<1812>が午後1時半に決算発表を行い今期経常益25.8%増の見通しが好感され28円高と買われたが、同時刻に決算発表を行った大林組<1802>は今期営業益26%減が売りを誘い13円安で引けた。
 
 円安は一服しても一服しなかったのが長期金利の上昇で、一時は前日を上回る0.85%になった。それが後場影響したのが不動産で、三井不動産<8801>は135円安、三菱地所<8802>は170円安、住友不動産<8830>は195円安で、3銘柄で日経平均を20円押し下げた。東証REIT指数は4日で194ポイント(12.3%)下落。三越伊勢丹HD<3099>、高島屋<8233>など春先に含み資産で買われた百貨店株も軒並み下落した。前日派手に買われた金融関連は反落銘柄が目立ち、メガバンクはりそな<8308>も含め全てマイナスで、地銀も全面安。さすがにこの日は債券安が銀行株の懸念材料に浮上していた。
 
 タカラバイオ<4974>、ナノキャリア<4571>など新興市場のバイオ関連は買い直され、医薬品も塩野義<4507>などが反発。日経新聞朝刊に「製薬大手、再生医療参入」という記事が出て、年内をメドに「体性幹細胞」を使う身体機能回復の研究チームを立ち上げるアステラス製薬<4503>は160円高、細胞培養技術を持つバイオベンチャー、シームスと組んで再生医療に取り組むロート製薬<4527>は72円高で年初来高値更新。記事によれば再生医療の国内市場は2020年に1900億円に拡大する見通しで、バイオ関連の一番の稼ぎ頭になるかもしれない。
 
 この日の主役はパイオニア<6773>。一時ストップ高になり株価も300円にタッチし、終値は値上がり率3位の60円高で293円。年初来高値を更新し売買高7位に入った。決算と同時にNTTドコモ<9437>、三菱電機<6503>への第三者割当増資を発表したのが好材料。1週間前の5月7日の終値は200円で、100株単位なので「1万円札2枚で買える株」で、個人投資家は買いやすい。もし7日に買ってこの日売れば株価は約1.5倍で、2万円が約3万円に増えて小遣い銭稼ぎができた。そんな「小さな幸せ」でも、人は株式投資を好きになっていく。(編集担当:寺尾淳)