【日経平均】大型株中心に買われて15000円の大台乗せ

2013年05月15日 20:20

 NYダウは123ドルの大幅高で史上初の15200ドル台乗せ。有力ヘッジファンド「アパルーサ・マネージメント」の創業者デビッド・テッパー氏がCNBCテレビで景気や市場について強気の発言をしたのが効いた。15日朝方の為替レートはドル円は102円台前半、ユーロ円は132円台前半でドル円は円安進行。ただ今週は、朝は円安でも東京の債券市場での地銀中心の国債売りで長期金利が午後上昇し、為替が円高に戻して日経平均も後場軟調になるパターンを繰り返している。
 
 日経平均は203.92円高の14962.34円で始まり、3分後ついに15000円の大台に乗せた。その後もずっと大台割れすることなく推移し15100円にもたびたびタッチ。終値は337.61円高の15096.03円で、2008年1月以来5年4ヵ月ぶりの15000円台乗せ。TOPIXは+22.05の1252.85だった。売買高57億株は5月13日の記録を上回り過去3番目、売買代金4兆4701億円は4月5日に次ぐ大商い。長期金利は一時0.92%に達したが、その後は0.825%まで下がりドル円は102円台を維持できたため、後場の株価に影響しなかった。
 
 小型株に売られる銘柄が多く大型株に偏った上昇だったため、値上がり銘柄635より値下がり銘柄1011のほうが多かった。業種別騰落率もマイナスは9業種あり、その他金融、建設、不動産、サービス、倉庫、電気・ガスの下落率が大きい。プラスのセクター上位は輸送用機器、電気機器、食料品、保険、ガラス・土石、繊維などだった。
 
 日経平均プラス寄与度1~3位に「御三家」が顔を揃え、1位ファーストリテイリング<9983>、2位ソフトバンク<9984>、3位ファナック<6954>の合計で日経平均を84円押し上げた。金融は三大メガバンクが揃って上昇し、三菱UFJ<8306>は5年ぶりの増配も好感され22円高。第一生命<8750>も年初来高値を更新した。
 
 売買高でも売買代金でも1位と売買が膨らみ、90円高から18円安まで大きく動いたのが東京電力<9501>で、終値は9円安。関西電力<9503>は79円安だった。活断層の存在確認で敦賀原発2号機の廃炉の可能性が強まったのが影を落としている。その電力関連でもある日本ガイシ<5333>はイタリアの大手送電会社にNAS電池を納入するニュースで買われ184円の大幅高で値上がり率12位に入った。
 
 自動車では230円高のトヨタ<7203>、115円高のホンダ<7267>、17円高のマツダ<7261>、7円高の三菱自動車<7211>が年初来高値を更新したが、華々しく買われたのがいすゞ<7202>で、一時ストップ高の150円高で値上がり率2位に入った。前日発表の決算では東南アジアでトラックの販売が好調で前期の最終利益が6年ぶりに過去最高になった。明治HD<2269>は決算内容が見直され後場じり高の370円高で統合後の上場来高値更新。今期連結営業利益4倍を見込む電子部品の太陽誘電<6976>は262円高で値上がり率10位に入っていた。
 
 不動産関連は下落に歯止めがかからず、大手だけでなく東急不動産<8815>、平和不動産<8803>も安く、東京ドーム<9681>など含み資産株も売られた。不動産証券化関連のケネディックス<4321>は値下がり率7位で、三菱地所<8802>は今期営業益が過去最高の見通しでも2円安と浮上できなかった。長期金利上昇でその他金融のノンバンクも悪く、アイフル<8515>は値下がり率1位、オリコ<8585>は値下がり率10位、クレディセゾン<8253>は日経平均マイナス寄与度トップだった。
 
 ゲームのDeNA<2432>、グリー<3632>は大幅安で、ともに年初来安値を更新。新興市場のガンホー<3765>も下落しコロプラ<3668>はストップ安だったが、業績を見るとDeNAのベイスターズ買収から1年前の「コンプガチャ騒動」あたりまでが花だった「DeNA、グリー時代」から「ガンホー、コロプラ時代」に移り変わった観がある。
 
 電機は日立<6501>19円高、東芝<6502>14円高、パナソニック<6752>46円高と買われたが、決算発表明けのシャープ<6752>は8日ぶりに下落し68円安だった。
 
 この日の主役はソニー<6758>。実質上の筆頭株主のアメリカのヘッジファンド「サード・ポイント」の創業者ダニエル・ローブ氏が前日に東京のソニー本社を訪問し、平井一夫社長に経営改革案を提案したと日経新聞が報道した。その内容はソニーエンタテインメントの一部を分社化し、株式の15~20%をアメリカの市場に上場させることと、エレクトロニクス事業に集中して収益性の高い事業や製品群を見きわめて利益率を改善し、製品の再構成など合理化を進めること。それに反応して終値は195円高の2072円と2000円台に乗せて年初来高値を更新し、値上がり率16位、売買代金5位に入った。半年前の昨年11月15日の終値は793円だったので、株価は約2.6倍になっている。
 
 サード・ポイントの保有比率は約6%だが、6月の株主総会を前にソニー経営陣は提案に耳を貸さないわけにはいかず、どう対応するか注目される。円安進行とともにNYダウの大幅高、午前9時15分まで値がつかなかったソニーの買い人気が東京市場を活気づけたので、日経平均を15000円に乗せた立役者はデビッド・テッパー氏、ダニエル・ローブ氏というヘッジファンド界の2人の大物だった、とも言えるだろう。(編集担当:寺尾淳)