【日経平均】過去3番目の大商い53億株で終値174円高

2013年05月13日 20:06

 前週末10日のNYダウは35ドル高で史上最高値更新。10~11日にロンドン近郊のエイルズベリーで開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では2月の前回G7の「為替相場を政策目標としない」という声明が改めて確認され、麻生太郎財務相によると円安やアベノミクスへのけん制発言は出なかったという。それで安心して円安が進行し、13日朝方の為替レートはドル円が102円近辺、ユーロ円が132円台前半になった。

 日経平均は151.96円高の14759.50円で始まり、前場途中から14800円台に乗せたが、後場は利益確定売りが入っておおむね14700円台後半の値動きで、終値は174.67円高の14782.21円と続伸。TOPIXは+21.60の1232.20。この日の売買高53億株は今年4月5日、2011年3月15日に次ぐ過去3番目で、売買代金4兆1272億円は4月5日以来の4兆円超えという大商いだった。

 値上がり銘柄945に対し値下がり銘柄は682もあり、全面高とまでは言えない状況。東証1部33業種の上昇セクターは証券、銀行、その他金融、保険、機械、輸送用機器と金融関係と輸出関連が上位に並び、下落セクターは鉱業、パルプ・紙、倉庫、医薬品、陸運、食料品などだった。

 円安の進行でトヨタ<7203>230円高、日産<7201>48円高、シャープ<6753>56円高、ソニー<6758>68円高、パナソニック<6752>57円高など輸出関連の主力株は大幅上昇。日立<6501>は今期営業益が過去最高になる見通しで50円高。騰落率が大きかった銘柄で目新しい顔ぶれとしては、業績予想が営業益過去最高の41%増で市場予測を上回り237円高で値上がり率13位に入ったクボタ<6326>、今期営業益51.4%増という業績見通しが好感されて120円高で連日年初来高値の日本精工<6471>、デンソー<6902>、三菱マテリアル<5711>などがあった。

 NTT<9432>は2500億円の自社株買い実施計画を発表したほか、全世界の約20社と共同で無線LANの次世代技術を開発し国際標準規格をつくることに基本合意したと日経新聞朝刊で報じられたこともあり210円高。人呼んで「眼鏡店業界のユニクロ」ことジャスダック上場のジェイアイエヌ<3046>は東証上場日が5月30日と決まり440円の大幅高だった。東証1部に直接上場したらまた話題を呼びそうだ。

 一方、iPS細胞で盛り上がったバイオ関連銘柄や医薬品、春先の主役だった不動産関連は下落する銘柄が目立ち、主力株は良くなかった決算内容が尾を引き3日続落の武田<4502>の75円安を筆頭に、宝HD<2531>、アステラス製薬<4503>、東急不動産<8815>、東京建物<8804>などが売り込まれた。東証REIT指数も下落。不動産含み資産銘柄として一時もてはやされた三井倉庫<9301>など倉庫株も下げた。住友電工<5802>は前期決算の営業減益が響き72円安とふるわなかった。ガンホー<3765>はこの日もストップ高で時価総額がとうとう任天堂<7974>を上回ったが、DeNA<2432>、グリー<3632>はあえなく続落。ゲーム業界にも「大政奉還」の時が来たようだ。

 この日の主役は何と言っても金融関連。証券、銀行、その他金融、保険が騰落率ランキングの上位1~4位を占め、売買代金ランキングでは1位が97円高のアイフル<8515>、2位が82円高の野村HD<8604>、3位が11円高のみずほ<8411>、4位が55円高の三菱UFJ<8306>、5位が260円高の三井住友FG<8316>と、1~5位を独占。80円高のオリコ<8585>は10位に入り、値上がり率ランキングでも3位。売買高ランキングのほうも1位みずほ、2位三菱UFJ、3位野村HD、5位アイフル、7位オリコで、10位に22円高の新生銀行<8303>も入った。大和証券G<8601>は77円高で、以上8銘柄で年初来高値更新でないのはオリコだけという「金融夏まつり」の一日だった。日米で長期金利が上昇し、東京市場では一時0.8%で3ヵ月ぶりの高水準。国債を大量保有する金融機関には債券安は悪材料のはずだが、投資家はG7で日銀の異次元金融緩和が理解されたら長期金利の0.1ポイント程度の上昇など気にしない、ということか。(編集担当:寺尾淳)