米国など11ヵ国が参加する環太平洋パートナーシップ(TPP)の第17回交流会が、15日から10日間の日程で、南米ペルーの首都リマで開催されている。日本は、米議会の承認の手続き中で、参加できない。
交流会では11ヵ国が、関税撤廃などの議論が交わされているとみられる。TPP交渉は、関税撤廃や、知的財産権の保護など21分野の貿易自由化や、ルールの共通化を話し合っている、日本は、米国の手続き終わる7月下旬は交渉に合流する見込みで、途中参加になる恐れもある。
日本政府は、初参加に向け各国の交渉官、各分野の情報収集を加速するとともに、実質的な議論に参加できるよう、次回会合日程の延長を求めていく考えだ。
その一方で、TPP参加で、食の安全が損なわれるとの声も上がっているのも確か。TPPで食の安全が問題になるのは、現在各国で異なっている食品添加物や、残留農薬などの基準を、同一のルールで運用することが求められる可能性があるためだ。
一方交渉を主宰する米国では、「米国食品医薬品化粧品法」で定義づけられて、安全性と有効性についてFDAが認可した600品目と、一般に安全と認められる物質が約1000品目ある。
FDA認可の添加物だけでなく、日本より少ない濃度の農薬残留を含む農産物が輸入される可能性もある。これらを指して、「食の安全がそこなわれる」との声が上がっているのは事実。この辺をどう交渉していくか注目していきたい。
TPP参加の賛否は別としても、多くの食品を輸入する日本は、食の安全は不可欠な要素であり、そのためには、科学的事実に基づいた判断が、これからの大きなカギとなりそう。TPP参加国と日本の食の検査基準、大きな隔たりがあるのは確か。日本の食の検査基準の厳しさは、世界でもトップクラス。それは参加11ヵ国も当然承知のはず、そこをどう折り合っていくのか、命に係わる食の安全を、日本はどう維持しながら各国と渡り合っていくのか、TPP参加が承認された後の対応が、各国とも注目するところだ。
交渉段階で、その辺を曖昧にしないで、詰めていかなければ、後で後悔することになろう。(編集担当:犬藤直也)