【日経平均】調整はまだ続き469円安で14000円台危うし

2013年05月27日 20:11

 前週末24日のNYダウは8ドル高。3連休前で売買低調の中、耐久財受注は市場予測を上回っても量的緩和早期縮小への警戒感はぬぐえず、シアーズのさえない決算も加わって3日ぶり反発でも小幅高にとどまった。海外で一時ドル円100円台をつけ、27日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が130円台後半と円高が進行していた。

 一気にきた「Sell in May」で暴落、乱高下のメイストームが吹き荒れた前週から週末をはさみ、落ち着きを取り戻せるか注目の日経平均は円高を反映し238.63円安の14373.82円で始まった。すぐさま14300円、14200円を割り込む軟調な展開で14000円台の底をはう。大証の日経平均先物の板情報は10円刻みの買い板も売り板もみな100~300枚程度と薄く、これでは値が飛びやすく日経平均現物の動きは荒くなる。午前10時台から反転し14300円にタッチしても、その後は大引けまで14100~14200円台で上げたり下げたりで変動幅は落ち着いた。終値は469.80円安の14142.65円で、25日移動平均線を割り込むのは4月2日以来。TOPIXは-40.01の1154.07だった。売買高は39億株、売買代金は3兆1390億円で前週より減った。

 値上がり銘柄は141しかなく東証1部業種別騰落率のプラスは不動産1業種のみ。マイナス幅が小さい業種はサービス、陸運、その他金融、小売、食料品など内需系中心で、大きい業種は保険、電気・ガス、輸送用機器、機械、海運、水産・農林などだった。

「日経平均寄与度御三家」がマイナス寄与度1~3位に揃い合計で89円押し下げ。円高なのでトヨタ<7203>は310円安、売買代金2位と売り浴びせられ、京セラ<6971>320円安、ホンダ<7267>175円安、TDK<6762>220円安、ダイキン<6367>255円安、信越化学<4063>250円安、デンソー<6902>235円安、ソニー<6758>135円安など輸出関連の大型株は全面大幅安になり、三菱自動車<7211>は15円安で値下がり率4位になった。

 メガバンクも証券も揃って安く、東京電力<9501>の51円安など電力株も安かったが、セブン&アイHD<3382>20円高、セコム<9735>30円高、ヤマトHD<9064>24円高など内需ディフェンシブ系の一部に買われる銘柄が出て、ローソン<2651>は200円高で4日ぶりに反発した。鉄道株のJR東海<9022>、東急<9005>も上昇。ガンホー<3765>の好調ぶりに引っ張られDeNA<2432>が93円高で値上がり率14位になり、グリー<3632>も上昇した。フルキャストHD<4848>は3日続伸で値上がり率3位に入っていた。

「下がりすぎ」で安値拾いされたセクターは17日は地銀だったがこの日は不動産。債券先物市場は落ち着いて長期金利も0.8%台前半で安定し、東証REIT指数も上昇した。三菱地所<8802>が25円高、住友不動産<8830>が35円高、東京建物<8804>が17円高、含み資産関連の東京ドーム<9681>も上昇しケネディックス<4321>は値上がり率10位に入った。コイン駐車場のパーク24<4666>は、日経新聞が中間期の営業利益が前年同期比1割強増え約90億円になり過去最高を更新すると報じ33円高だった。

 インドのシン首相が来日し29日に安倍首相と日印首脳会談を行う予定。インドに海難救助飛行艇US-2を1機100億円で輸出する話が伝わり、製造する新明和工業<7224>は54円高で値上がり率7位に入った。神戸製鋼所<5406>は神戸製鉄所の高炉を休止して加古川製鉄所に集約する検討に入ったと25日に報じられ、売買高5位と買われ前場はプラスだったが後場に崩れて8円安。鉄鋼事業は赤字続きで、高炉休止で生産能力を約2割削減して収益力を改善する。

 金融商品取引法違反(偽計)の疑いで24日に証券取引等監視委員会が強制調査に入った三栄建築設計<3228>は、春先にはパワービルダー銘柄としてもてはやされたが300円ストップ安比例配分で不名誉な値下がり率1位。こんな事件があると同業他社は「風評被害」にあい、一建設<3268>、飯田産業 <8880>、東栄住宅<8875>、アイディホーム<3274>、タマホーム<1419>などの株価が下落した。しかし、やましいところがないのなら押し目買いのチャンスになる。

 この日の主役は、ジャスダック上場日が6月26日と決まったリプロセル<4978>の周辺銘柄。iPS関連の新星として大きな期待を集めており、第2位株主で11.36%を保有するニプロ<8086>は216円高で値上がり率1位。子会社のベンチャーファンドが4.07%を保有するPSS<7707>はストップ高比例配分。11.49%を保有する筆頭株主はSBIインキュベーションなのでSBIHD<8473>も65円高で値上がり率13位に入った。政府は「再生医療2法案」を国会に提出し、6月11日に東証マザーズ上場予定の創薬ベンチャーのペプチドリーム<4587>も人気を呼びそうで、バイオ関連に調整局面はなさそうだ。(編集担当:寺尾淳)