27日のNY市場は「メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)」で休場。28日朝方の為替レートは、ドル円が101円台前半、ユーロ円が130円台後半で円高も一息ついた。
日経平均は199.03円安の13943.62円と14000円を割って始まるが、すぐに大台を回復し、午前9時10分すぎプラス圏に浮上。円安進行を追い風にいったんは14300円を超えた。しかしそれからは先物主導でマイナス、プラス、またマイナスを繰り返し、目まぐるしく変化する猫の目相場。それでも午前11時台には14200円台でようやく安定した。
午後1時すぎ、日銀の宮尾龍蔵審議委員が日本外国特派員協会で講演した中身が伝わり、「意図せぬ金利上昇は回避しなければならない」という内容を受けて債券先物市場は安定し、ドル円は102円にタッチし日経平均も1時45分、14400円まであと22銭に迫った。後場は落ち着いておおむね14300円台をキープし、終値は169.33円高の14311.98円だったが25日移動平均線は上回れなかった。値上がり銘柄893は値下がり銘柄737を上回り、TOPIXは+14.20の1168.27。売買高は42億株、売買代金は3兆1762億円だった。
値上がりセクターは輸送用機器、ゴム製品、機械、鉄鋼、電気機器などで、値下がりセクターは電力・ガス、パルプ・紙、陸運、その他製品、倉庫などだった。
後場は大型株中心に上昇したが、カヤの外だったのが東京電力<9501>で売買高、売買代金とも1位ながら39円安で値下がり率6位だった。メガバンク3行は揃って上昇し野村HD<8604>は8円高。電気機器は売買高10位の東芝<6501>は前場マイナスだったが終値19円高、売買代金9位のソニー<6758>が65円高、売買高11位のシャープ<6753>が3円高、パナソニック<6752>が4円高、日立<6501>が18円高とおおむね好調。三菱電機<6503>は今期2期ぶりに半導体部門が営業黒字になると報じられ66円高だった。神戸製鋼<5406>が5円高と買い直され売買高12位、新日鐵住金<5401>が9円高で売買高7位に入るなど鉄鋼株も買われていた。
前日は落ち着いていた債券先物市場は、朝からまた乱高下して長期金利は上昇したが、午後は日銀の宮尾審議委員の発言の効果で落ち着いて債券先物価格は徐々に切り上がり、長期金利も下落した。前場は売られていた不動産株は後場には安心感がひろがって買い戻された。三栄建築設計<3228>の連日の値下がり率1位はスキャンダルだから別として、三井不動産<8801>は前引け84円安だったが終値は10円高、野村不動産HD<3231>は後場プラスに転じ18円高、住友不動産<8830>は大引け直前の上昇で30円高、しかし三菱地所<8802>、東京建物<8804>はマイナスで終わっていた。
指数先物と関係が薄い新興市場は堅調で、委託保証金率を70%以上とする信用規制が解除されたミドリムシのユーグレナ<2931>、ゲームのコロプラ<3668>、地盤調査の地盤ネット<6072>は揃ってストップ高になった。日印原子力協定への期待で原発関連の日本製鋼所<5631>は38円高。株式分割を発表したレーザーテック<6920>は値上がり率4位に入り、参議院選挙の日程が7月21日に固まってネット選挙関連のドワンゴ<3715>も上昇した。サンリオ<8136>は東京・多摩ニュータウンにあるテーマパーク「サンリオピューロランド」が24年目の今期、初めて営業黒字化すると報じられ15円高で6日ぶりに反発した。フルキャストHD<4848>は4日ぶりに下落して値下がり率2位になり、上昇も下落も派手だ。
この日の主役は「自動車」。業種別でも輸送用機器が値上がり率トップ。日経平均の浮き沈みが激しかった前場でもいすゞ<7202>、三菱自動車<7211>、マツダ<7261>はプラスを維持し、後場は代表銘柄のトヨタ<7203>、ホンダ<7267>や日産<7201>、富士重工<7270>が揃って上昇した。トヨタ系のデンソー<6902>、ベアリングの日本精工<6471>とNTN<6472>、ショックアブソーバーのKYB<7242>のような自動車部品株や、ブリヂストン<5108>、横浜ゴム<5101>などタイヤ株も買われ、ゴム製品は業種別騰落率2位だった。
トヨタは290円高で5日ぶりに反発し売買代金2位。三菱自動車は21円高で値上がり率2位に入り売買高2位、売買代金7位。マツダは26円高で売買高4位、売買代金5位。富士重工は149円高で売買代金10位。ホンダは150円高で売買代金13位。日産は45円高で売買代金14位。KYBは51円高で値上がり率8位。日本精工は84円高で値上がり率9位。この日は完成車メーカーも部品メーカーもタイヤメーカーも大いに買いを集めた「クルマの日」だった。(編集担当:寺尾淳)