厚生労働省では健康食品の安全性の確保を図るため、原材料や製造工程、販売の各視点から検討する必要があるとして、現在、健康食品(いわゆる健康食品を含む)の安全性確保に関する検討会を立ち上げ、安全性審査ガイドライン作成に向けて議論をすすめている。5月に開かれた検討会では、これまでの論点を整理して、事務局が「検討会報告書の骨子案」をまとめた。製造管理、品質管理については第3者の外部機関による検証(第3者認証導入)が安全性確保とともに消費者の信頼性の確保につながるとして、盛り込まれている。また、健康被害情報の収集や処理体制の強化、消費者に対する普及啓発についても「正確な成分表示を前提として、適切な摂取目安量の表示や注意喚起表示が理解されるような取り組みが必要である」などが盛り込まれている。この案をもとに、現在、検討会各メンバーが内容を検討しており、「6月下旬に検討会が開かれる予定」(同省)で、案の完成をめざす。
骨子案では「様々な食品が健康食品として流通するようになり、健康食品の製造段階において食経験のない食材の増加など原材料の安全性確保が改めて問題になっている」と指摘、あわせて「製造工程の適切な管理」とともに、販売段階での現状として「健康食品を選択する際に、安全性に関する目安となるものがない」「適切な情報提供や相談支援を消費者が受けられる体制が十分なものとはいえない」などの課題をあげていた。
こうした問題を踏まえて、錠剤、カプセル状等の食品については、成分が濃縮されるという特性にかんがみ、具体的に原材料の安全性に関する自主点検や適正な製造工程管理に関するガイドラインが示されてきたものの、現状では製造事業者においてこうした取り組みが十分になされているか否か、消費者からは把握し難いものとなっているとして、「外部機関による検証を取り入れる等により、健康食品の安全性確保が一層図られるための方策を示すこととする」と外部機関による検証を提起。
また、製造工程、品質管理の体制整備(GMP)に関して「第3者機関による確認(第3者認証)を導入することは、より質の高い製品の普及や消費者の選択可能性の向上、事業者に対する技術的支援の促進に繋がるものと期待される」としている。
第3者認証については「健康食品の場合、原材料や加工方法が多様であり、現時点では個別の安全性基準を定めることが困難であること、消費者の理解を図るため認証基準や表示はできるだけ統一されたものであることが望ましいこと等の事情を十分に考慮する必要があることから、法令に基づく指定等の形式をとるのではなく、学識経験者、消費者、製造事業者等から構成される認証協議会が要件を定めて認証機関の指定や認証基準の設定等を行い、認証機関の指導監督等を行うことが、認証機関の認証が適切に行われることを確保する観点から適当であると考える」として、行政は認証協議会の設立や運営で支援、連携を強めるべきとの考えを示している。また、第3者認証を受けた製品については、認証を受けたものであることが容易に分かるような表示(原材料の安全性評価やGMPに係るマーク)を行い、消費者が選択する目安になるような情報提供を行うことが必要としている。