基礎年金の税方式化が制度安定へ有力な選択肢

2008年06月02日 11:00

 社団法人日本経済団体連合会は社会保障制度のあり方についての「制度改革に関する中間とりまとめ」を行った。その中で、「信頼性、自助努力を重視する制度設計」「経済活力の向上・財政運営との両立」「社会保障と税の一体的見直し」の3点を基本原則として安心で持続可能な制度の確立を急ぐべき、と提言している。

中でも「65歳以上の高齢者が4割を占める超高齢化社会の到来を展望すれば、世代間扶養のシステムから国民全体で支える公費負担中心へ軸足を移していくなど、制度の骨格を根本から改めることが不可避」と指摘。

そのうえで「現在の基礎年金制度の下では、保険料の支払必要期間の問題や未納問題などにより、将来の無年金者あるいは無年金予備軍とも言うべき人が増えていくことが懸念される。これを放置すると、本人にとってはセーフティー・ネットがないということになり、また社会不安を引きおこす要因ともなりかねない。国民のセーフティー・ネットとしてのあるべき制度として、無年金者やその予備軍を無くす制度に改めるべきである」とするとともに、こうした問題の解消を図るうえでも、「高齢者世代に安心感を与えるセーフティー・ネットを確保するため、基礎年金の税方式化は有力な選択肢となり得る」として、基礎年金の財源を「現行の保険料方式よりも広く国民が負担する税目に求めれば、社会保障制度の持続可能性を高めることができる」との判断を示した。

 また、医療・介護保険制度については「今後の人口構造の変化を踏まえれば、かなりのスピードで給付は増えていかざるを得ない。高齢者医療・介護保険制度として真に必要なサービス給付を確保し、広く国民全体で制度を支えていくとの観点から、同制度への公費の投入割合を、高齢者人口の増加スピードを踏まえて増やしていく方向で見直しを行うべきである」とした。