大飯原発3,4号機 運転継続へ 関西電力

2013年06月23日 19:12

 原子力規制委員会は、このほど、国内で唯一稼働している、関西電力の大飯原子力発電所3,4号機(福井県おおい町)の現地調査を行った。これは、7月に施行される原発の新規規制基準に適合しているか、確認するための調査。その結果、安全上重大な問題は確認されなかった。したがって、3,4号機は、定期検査入りする9月まで、運転を継続される公算が大きくなった。

 7月に施行される新規基準の事前調査は、4月19日から始まり、12回の会合を重ねてきた。その中で、集中的に議論されたのは、最もハードルの高かった緊急対策所の設置であった。

 これは現地調査でも集中的に確認した案件だ。対策所は、免震機能を持った建物が不可欠で、東京電力福島第1原発事故の際には,事故収束の重要な前線基地を担っていた。大飯原発には、こうした正式な対策所はなく、平成27年上半期までに確保する予定としている。

 関西電力としては、代わりに3,4号機の中央制御室(108平方メートル)を使う予定だったが、「原子炉に近く、放射性物質に汚染される恐れがある」と規制委から反対された。そこで新たに浮上したのが、1,2号機にある会議室(105平方メートル)と、合わせて運用する案を提示、中央制御室を要員の待機場所にするとの計画が規制委に了承された。

 これはある意味では1,2号機を犠牲にして、正式な対策所ができるまでの2年間は、この2基の運転が事実上なくなる、との未通しで提示を行ったと見られている。

 3号機は平成3年、4号機は5年に比べて1,2号機の営業運転は、昭和52年と古く、メンテナンスや、規制基準の適合基準などに、費用や時間がかかることも予測され、こうしたコスト面からも3,4号機を優先して考えたものと思われる。

 原子力規制委員会の原発新基準施行は、来月中旬の見通しと見られている。(編集担当:犬藤直也)