迷宮のような渋谷駅は再開発によって快適になるか

2013年06月23日 19:49

 筆者は、かれこれ四半世紀以上利用しているにも関わらず渋谷駅が苦手である。それは動線が複雑でまるで迷宮のようだからだ。同じ東京でも新宿駅や、池袋駅はそれぞれの鉄道会社の路線のプラットホームが平行に並ぶシンプルな構造になっているので、よけいにその複雑さが際立ってしまう。これは渋谷駅が、乗り入れる9つの路線がそれぞれに増築を繰り返したせいである。乗り換え経路は実に128通りもあるという。
 
 東京急行電鉄<9005>、東日本旅客鉄道<9020>、東京地下鉄の3社が立案した渋谷駅周辺の都市計画提案が、東京都から都市計画決定された。この決定で、開発の計画段階から具体化の段階に移行する。計画されているのは3つの建物でオフィス(貸床面積約7万m2)と商業施設(店舗面積約7万m2)の大掛かりなものであり、東棟は地上46階・地下7階、中央棟は地上10階・地下2階、西棟は地上13階・地下5階となっている。

 東西駅前広場をつなぐ自由通路の拡充や、駅街区と宮益坂上方面、道玄坂上方面をつなぐスカイデッキの整備、災害時に帰宅困難者を受け入れる一時滞在機能の整備などを行い、安全で快適な街の実現を目指すとしている。

 デザインアーキテクトは世界的な建築家・隈研吾の建築都市設計事務所と、ディオール表参道や金沢21世紀美術館などの建築、ヴェネツィア・ビエンナーレの金獅子賞の受賞で知られる建築ユニットSANAA事務所が抜擢され、大規模ターミナル駅を中心とする都市再生のモデル的プロジェクトの構築を進めるとしている。予定されている工期は、今年度から2027年度までで、まず東棟が20年、中央棟と西棟は27年の開業予定である。

 最終的にこのプロジェクトが完成するのは、今から14年後と、それだけで、この都市計画が壮大なものであることがわかる。昨年のヒカリエの完成など話題に事欠かない渋谷であるが、この春の東急線の渋谷駅の地下化は、残念ながら迷宮に拍車をかけてしまった。果たして、この都市計画の完成の暁には、快適な駅に変貌を遂げるのだろうか。(編集担当:久保田雄城)