あの大震災から早くも2年と数ヶ月が経った。宮城県をはじめとする東北被災地では、東京電力福島第一原発事故での放射能汚染による除染作業も民家の除染に移る等、着実に進行しているようだ。しかし、各メディアがこれまで千葉県や茨城県などが被った被害を取り上げていないことからも察せられるが、これら主要被災地として認識されていない県の除染作業は当然ながら遅々として進まない。
群馬県では毎年冬期の恒例であった赤城大沼でのワカサギ釣りも、今年は放射線の影響からワカサギを釣り上げても持ち帰ることが禁止され、来場者は通年の1/3程度に激減した。確実に関東圏内までに放射線の影響は広まっていたのである。
茨城県に広がる霞ヶ浦。県南東部から千葉県北東部にまたがる湖であり、日本第2位の湖面積を誇る。また、水質の安定と維持を図るために湖沼水質保全特別借地法指定の湖としても知られている。まさに茨城を代表する湖と言っていい、霞ヶ浦が放射線の影響にさらされているのである。
56本の河川が流れ込む霞ヶ関。県南地域の河川には放射線量が高く検出された場所もあり、この影響からか霞ヶ浦で採取されたウナギをはじめとする4種の水生生物から1キロあたり100bqを越えるセシウムが検出された。
今年5月14日、市民団体「いのちの水・霞ヶ浦を守る市民ネットワーク」は橋本昌知事にあて、汚染対策や調査についての要望書7項、とおよそ17,400筆の著名を県に提出した。しかし、担当者からの回答は「国の指示なくして県は対応ができかねる」とのことで難色を示したという。
日本において「SPEEDI」と呼ばれる緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムがある。福島第一原発事故後、このシステムは放射線の影響が懸念されるエリアをはじき出したが、国は「パニックを避けるため」との口実でエリアの公表を避け、政府は避難を浴びた。
このデータは徐々に公開されていったのであるが、こういった摩訶不思議な対処を行う国のどんな指示を待てばいいのか。
除染について「できかねる」づくしの国の対応。国策として押し進めてきた原子力発電事業。その尻拭いをしなければいけないのは民でなく官であることは明確だろう。一刻も早く、放射能の影響下にあるエリアを網羅し、確実に除染を行っていってもらいたい。(編集担当:坂本嶺)