厚労省は、このほど医療法などの改正案の概要をまとめ、社会保障審議会医療部会に提出した。これは、今秋の臨時国会に提出する予定の医療法改正案の概要をまとめたものだ。
それによると超高齢化社会のニーズに応えた病院・病床の再編成を進めるため、医療機関が、病床の活用実態と今後の活用方針を都道府県に報告する。それを受けた都道府県は、将来目指す病床の活用計画を「地域医療ビジョン」として、策定することを柱としている。改正案の概要によると、医療機関が病床の数や、活用状況、医療スタッフの設置状況などを都道府県に報告制度を新設。
それを都道府県実態が把握した上で、地域ごとの病床がどれだけ必要か、と言う将来像を「地域医療ビジョン」としてまとめようというもの。都道府県の打ち出したビジョンに基づき、役割分担に取り組んだ医療機関に対しては、国が診療報酬などで手当てすることを検討している。
こうした取り組みは、今後益々高齢化社会が進むことが予測され、病院の病床数を的確に把握しておかなければ、超高齢化に対応できないとして、医療法改正案に、病床数の徹底把握を進めようというものだろう。また他には、医療行為で患者が死亡した場合、第三者機関に報告したうえで、院内調査で、死因を究明することを医療機関に義務づける「医療事故調査制度」の創設も盛り込まれている。
最近の医療事故の多発で、その原因究明が必ずしも完全とは言えない状況にあり、中には訴訟問題にまで発展しているケースも多い。こうした医療事故における医療機関の対応の指針となるものがないのも確か。
改正案ではこうした面での、事故調査にも重点を置いているのが目立つ。高齢化社会での医療機関の役割が、従来から変化しているのは間違いない。そうした状況に合う改正案でなければ意味をなさないのは当然。そうした面を考慮した改正案の概要である。(編集担当:犬藤直也)