新基準決定 老朽化原発の行方は?

2013年06月26日 16:45

 このほど原子力規制委員会は、「原発新規制基準」を決定した。これは原発の運転期間を原則40年に制限、例外的に、20年を限度に、延長を認める場合でも、新基準への連合と特別な点検が課せられるというもの。現在全国の原発の内、運転30年を超える原発は計17基、電力業界は、今のところ「廃炉は考えてない」としているところが大勢を占めている。

 一方政府は、廃炉を促す姿勢は崩してはいない。すでに、政府は廃炉にする際の負担を和らげるべき、会計制度の見直しに動き出しているのは確か。

 これに対して電力業界は、選択を迫られる時期が迫っており、その成り行きが注目されている。こうした実情に、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は、政府の廃炉に関する会計制度の見直しの動きに賛意を示している。廃炉となれば、電力会社は、廃炉に伴う損失を一括計上しなければならない。もし想定より早く廃炉にするとなれば、積立金不足や、原発の資産価値がなくなることによる、巨額の損失が、経営に大きな打撃を与えることは必至となるだろう。「いきなり全額を損失計上しなければならないのでは、廃炉は不可能」と言う電力会社が大勢を占める。

 政府は、こうした声に応えるため、損失を複数年度にわたり計上できるよう制度見直しに乗り出す模様だ。

 経済産業省の試算によると、全国にある原発50基を現時点で廃炉にした場合、電力9社と日本原電で計4兆5000億円の特別損失が発生し、北海道、東北、東京、北陸、九州,日本原電の6社は、債務超過になるとしている。7月に施行される原発の新基準は、より厳しい安全対策を求めている。40年未満でも基準に適合できず、今後も再稼働の見込めない原発が相次ぐ可能性がある。

 政府による会計制度の見直しは、電力会社に廃炉を促す狙いがあるといえよう。(編集担当:犬藤直也)