【日経平均】後場の健康的な上がり方で14300円台を回復

2013年07月05日 20:06

 NY市場は独立記念日の祝日で休場。5日朝方の為替レートはドル円は100円台前半、ユーロ円は129円台前半。イングランド銀行もECBも政策金利を据え置いたが、ECBのドラギ総裁は低金利政策の長期化を表明して利下げも視野と示唆。金融緩和期待でヨーロッパは株高でスペイン国債の入札は順調だったが、ユーロ円は130円台に乗らなかった。
 
日経平均は131.92円高の14150.85円で始まり、10分後に14200円台にタッチ。前場は14100円台との間を行ったり来たりして安定的に推移した。アメリカの雇用統計発表前の様子見の薄商いで乱高下はしない。内閣府から5月の景気動向指数が発表され、一致指数は+0.8の105.9、先行指数は+2.8の110.5と順調に上昇。コメントは「上方への局面変化を示している」に変更された。
 
為替のドル円は40銭ほどしか動かなかったが、韓国以外のアジア株指数が堅調だったためか後場は一段高で14200円台に定着。足場を確かめつつ徐々に登っていく富士登山ならば高山病にならず健康にいい模範的な登り方で、5月23日前場の15942円までの「弾丸登山」の無理がたたって「砂走り」を6月13日安値の12415円まで転げ落ちた分の半値戻しを達成し、大引けは高値引けで5月29日以来の14300円台に登りつめ291.04円高の14309.97円で今週の取引を終えた。前週末から632.65円も上昇し上々の7月相場入り。TOPIXは+17.87の1188.58だった。商いも後場は次第に活気を帯び、売買高は28億株、売買代金は2兆505億円で2兆円に乗せた。
 
 値上がり銘柄が1409と東証1部全体の82.3%もあり、業種別騰落率は全33業種がプラス。上位は鉄鋼、非鉄金属、ガラス・土石、証券、繊維、鉱業などで、下位は水産・農林、パルプ・紙、食料品、不動産、建設、金属製品と、主に内需系で占められた。
 
 後場の上昇を率いた「先達」は日経平均先物で、「御三家」に京セラ<6971>、KDDI<9433>を加えた5銘柄で日経平均を123円押し上げ、上昇幅の42%を占めた。日経平均225種で下落は14しかなかったが、マイナス寄与度のトップはカネボウの自主回収騒ぎが尾を引く花王<4452>で35円安。大和ハウス<1925>、積水ハウス<1928>の住宅メーカーが2位と4位、日揮<1963>と千代田化工<6366>のプラントメーカーが2位と6位。さらに食品関係が14銘柄中5銘柄を占め、特定業種に偏っていた。
 
 金融、証券、自動車は全面高だったが、値上がり率が2%を超えていたのが野村HD<8604>、SBIHD<8473>、トヨタ<7203>、マツダ<7261>、三菱自動車<7211>、いすゞ<7202>、日野<7205>、ダイハツ<7262>など。その他の主力株で2%を超えたのは、騰落率トップの鉄鋼株の新日鐵住金<5401>、JFEHD<5411>、神戸製鋼<5406>をはじめ、通信株のNTT<9432>、KDDI、ソフトバンク<9984>、商社株の伊藤忠商事<8001>、丸紅<8002>や、日立<6501>、NEC<6701>、シャープ<6753>、コマツ<6301>、ファーストリテイリング<9983>、川崎重工<7012>、日本板硝子<5202>などだった。
 
 6月の携帯電話契約件数が発表されNTTドコモ<9437>が「一人負け」。4ヵ月ぶりの純減で後場マイナスに落ちたが大引け間際に戻し400円高だった。参議院選挙を控えて建設大手の大成建設<1801>は11円高、鹿島<1812>は12円高と買われ、建設資材の太平洋セメント<5233>は売買高9位に入り16円高で年初来高値を更新した。
 
 この日も東京電力<9501>は売買高、売買代金1位。株価は18円高。広瀬直己社長が柏崎市長、刈羽村長、新潟県知事と会談して再稼働を目指す柏崎刈羽原発の安全審査に理解を求めたが反発は根強かった。他の4電力は予定通り安全審査を申請する。その一つの北海道電力<9509>が住友電工<5802>が開発した新型大容量蓄電池を導入し2015年に電力網につなぐと報じられ、住友電工は39円高、北海道電力は32円高だった。
 
 値上がり率トップは快進撃のKLab<3656>で、売買代金10位に入りストップ高の292円高で年初来高値更新。電車の駆動装置を作る値上がり率4位の東洋電機製造<6505>は5月期本決算で営業利益3倍増の業績観測記事が出て47円高。一方、観測記事は営業利益3割減の日本製紙<3863>は38円安と売られ値下がり率11位。第1四半期決算で最終利益15%増で過去最高と発表したセブン&アイHD<3382>は50円高になった。
  
 この日の主役は「3Dプリンター」関連銘柄。中国で販売急拡大中という報道があり、前場の薄商いの中で市場がこのテーマに飛びついた。アメリカから製品を輸入・販売するMUTOHHD<7999>は63円高で年初来高値を更新して値上がり率2位。売買高でも13位だった。プリンター用樹脂を製造する群栄化学<4229>はストップ高の80円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。同5位で141円高のJBCCHD<9889>は子会社で機器を販売し、同7位の図研<6947>はジャスダック値上がり率4位のアンドール<4640>とともにCAD/CAMソフトの大手で、両銘柄ともストップ高。東証1部値上がり率10位のアルテック<9972>はイスラエルの会社から製品を輸入し、3Dスキャナーのパルステック工業<6894>はストップ高で東証2部の値上がり率トップだった。入出力装置のローランドDG<6789>も201円高で年初来高値を更新するなど、関連銘柄は全市場で盛り上がる。3Dプリンターは昨年あたりまで4Kテレビと同じく「次世代技術の見世物」だったが、今はビジネス上の話題を材料に物色されるテーマになっている。(編集担当:寺尾淳)