NY市場は独立記念日前日で午後1時までの短縮取引でNYダウは56ドル高。ECB理事会の直前にポルトガルで財務相に続き外相も辞任し、連立政権が窮地に追い込まれ長期金利が急上昇。金利上昇はギリシャ、イタリア、スペインにも波及し、ギリシャでは政府債務への懸念が再燃しヨーロッパの株価は一斉に下落。NYダウも安く始まったが、6月のADP雇用報告が市場予想を上回り雇用統計への安心感がひろがって上昇に転じた。エジプトでは軍事クーデターが勃発し、リスク回避の円買いで一時ドル円99円台前半、ユーロ円128円台後半まで円高が進んだが、4日朝方の為替レートはドル円は100円前後、ユーロ円は130円前後まで戻っていた。
日経平均は85.29円安の13970.27円で始まる。海外の危機を織り込む動きもあり前日より円高なので14000円割れでスタートするが5分ほどで大台を回復し、30分たらずでプラス圏に浮上した。その後はプラスとマイナスの間で浮いたり沈んだりで、上海市場が続落でスタートし午前11時すぎに14000円を割り込んでも一時的だった。後場はマイナス圏での小動きが続く。アジア市場が揃ってプラスでも為替がドル円100円、ユーロ円130円の大台に乗らなくてはプラス圏に浮上できず、終値は36.63円安の14018.93円で小幅続落。TOPIXは-3.10の1170.71で6日ぶりに下げた。売買高は24億株、売買代金は1兆9264億円で2兆円割れ。アメリカの雇用統計発表前の様子見に加え、ヨーロッパの債務問題、エジプトのクーデターによる原油価格上昇を警戒して投資家も動きづらい。
値上がり銘柄は729、値下がり銘柄は843。業種別騰落率のプラス上位はその他金融、倉庫、証券、不動産、電力・ガス、水産・農林など。マイナスはゴム、鉄鋼、ガラス・土石、機械、輸送用機器、非鉄金属などだった。
ファーストリテイリング<9983>は日経平均に18円プラス寄与したが、朝から日経平均の足を引っ張り続けたのが電通<4324>で、320円の大幅安で値下がり率2位に入りマイナス寄与度は12円だった。買収した英国の広告大手イージスの買収費用として前日に自社株売却、増資で約1200億円を調達すると発表し市場でネガティブな反応にあった。「世界のDENTSU」を目指す道は険しい。マイナス寄与度の2位(-10円)にはソフトバンク<9984>が入っていた。
メガバンク3行にプラス銘柄なし。証券は野村HD<8604>が後場に上昇して12円高で、SBIHD<8473>は71円高と好調。アイフル<8515>が110円高で値上がり率8位、売買高4位、売買代金2位、オリコ<8585>が25円高で値上がり率15位、売買高4位とノンバンク株が活発に買われた。薄商いの中、25円高の東京電力<9501>の売買が突出し売買高も売買代金も2位の約2.6倍という差をつけてこの日もトップ。この銘柄の回転売買が証券業界を潤している。
不動産は、JPモルガン証券が投資判断を引き上げた東急不動産<8815>が62円高でその上昇率6.33%は大手3社をしのぐ。三井不動産<8801>と住友不動産<8830>は7日続伸。不動産証券化のケネディクス<4321>は58円高で値上がり率6位、売買高2位、売買代金3位。含み資産関連銘柄も盛んに買われ、東京都競馬<9672>は41円高で値上がり率10位、よみうりランド<9671>は70円高で同19位、東京ドーム<9681>は31円高だった。
自動車株が軒並みマイナスの中で富士重工<7270>は今年の国内販売台数が62万台と過去最高の見通しで5円高。アメリカでは「インプレッサ」が大人気で、昨年12月の笹子トンネル事故の生存者の車がインプレッサだったため、「命が助かる車」という〃都市伝説〃が日米でひろがり好調な販売に一役買っている。電機の主力株もソニー<6758>だけ15円高でプラスになっていた。
日本網膜研究所との業務提携契約を締結した新日本科学<2395>は113円高で売買代金5位と買いを集めた。上場2日目のサントリー食品<2587>は55円高と続伸し売買代金7位。超大型銘柄なので株価指数の構成銘柄になる期待もあり、7月中にMSCI、8月末にTOPIX、秋に日経平均というのが予想されるスケジュール。食品では「エビスビール」が好調でサッポロHD<2501>が1~6月期決算で営業赤字縮小と伝えられ3円高になっていた。花王<4452>は傘下のカネボウの美白化粧品に自主回収商品が出っため後場売り込まれ80円安だった。
参議院選挙が公示され正式に選挙戦に突入し、ネット選挙関連のデジタルアーツ<2326>が148円高で値上がり率4位に入った。同5位は選挙事務所のスタッフも派遣するフルキャストHD<4848>だった。
ゲーム関連ではKlab<3656>に東証の信用取引規制が入って値下がり率5位の84円安になり4連騰でストップ。コナミ<9766>が値下がり率4位、スクエニHD<9684>が同16位など業界の古株も売られ、東南アジアでゲーム配信と報じられたセガサミーHD<6460>、ガンホー<3765>も下げたが、DeNA<2432>とグリー<3632>はどちらも小幅高。電子書籍関連のKADOKAWA<9477>は続伸し195円高で年初来高値更新。3D関連のMUTOHHD<7999>は値上がり率ランキング13位に入った。決算がらみではABCマート<2670>の3~5月期の営業利益が過去最高を更新する模様と伝えられて5円高になった。
この日の主役は46円高の千代田化工建設<6366>。日経新聞朝刊に「海洋資源で英社買収。探査は日本勢初」と報じられた。海底油田・ガス田探査の大手、英国エクソダス社を約100億円で買収し、日本企業として初めて資源探査事業に進出し欧米企業が独占するこの分野に割って入る。探査後の掘削を手がける日本海洋掘削<1606>は400円高、三井海洋開発<6269>は10円高と連れ高。掘削機械の鉱研工業<6297>は20円高で、新潟県岩船沖の海底油田・ガス田を生産中の石油資源開発<1662>も15円高だった。(編集担当:寺尾淳)