厚生労働省の審査委員会は、6月26日、理化学研究所などが申請していたIPS細胞を使った、臨床研究計画を承認した。
IPS細胞を使った例では我が国では初の承認となる。これは、目の難病になった患者が対称で、2014年夏をめどに、IPS細胞を使った初の治療が国内で始まることとなった。
人手の作製発表から6年で、IPS細胞は、再生医療への応用に向け、大きく動き出した。審査委員会では、iPS細胞が、移植後に異常な振る舞いをしないなどの、今回の第一の目的である安全性の確認について集中的に議論を展開した。
3回目のこの日、移植する細胞のがん化につながる、遺伝子の変異がないかや培養時にウイルスの混入がないかを、詳しく調べることなどを条件に承認を認めたもの。7月中旬ごろ厚生科学審議会の科学技術部会に報告、厚労省から正式に承認が通知される。
今回の対象は、国内に患者が70万人いるとされている、加齢黄班変性の患者の内、日本人に多いテンシュツ型と呼ばれる方の患者で、8月にも患者の治療に向けて準備を始める方針。
患者の中から50歳以上で、既存の薬が効かず、眼鏡などで矯正しても視力が0.3未満などの条件を満たした6人を選ぶ。今回の臨床研究は、安全性を最重要課題として進めるとしている。
移植してから1年間1~2ヶ月に、1回の頻度で、検査し、その後3年間は経過を観察する。これで日本初のIPS細胞がいよいよ治療として使われる。日本は先進医療では、優れた研究成果を果たしており、臨床応用への橋渡しに手間取り、新薬開発などに欧米で先を越されていたのが実情だ。
iPS細胞研究と臨床の現場が連携、総力戦で、iPS細胞の実用化を目指す、としている。山中教授のノーベル平和賞以来、このiPS細胞は脚光を浴び続けてきたが、ようやく実用化の道筋が見えてきた、ことに大きな期待が寄せられている。(編集担当:犬藤直也)