生活保護集団提訴 切り下げ不当と

2013年07月07日 01:18

 政府は、生活扶助を3年で平均6.5%、最大10%削減する方針を打ち出した。これは、2003年度の0.9%を大きく上回り、1950年の制度創設以来、最も大きな切り下げになる。

 これを受けて、8月に始まる生活保護費の切り下げは不当だとして、全国各地の受給者が連携し、各自治体に切り下げの取り消しを求める、行政訴訟を1000人規模で起こす見通しだ。関係者によると、生活保護関連では、過去最大規模の訴訟となる。受給者を支援する複数の団体で30日、京都市で会合を開き、新団体を設立して対応する方針を確認した。

 日常生活費にあたる「生活扶助」を3年で、最大10%減額する切り下げの当否が、司法の場で争われることになる。設立する新団体は、1万人を目標に受給者を募り、切り下げ開始後に自治体に不服を申し立てる「審査請求」を行う。

 支援団体は、審査請求や訴訟を通じて、1物価下落を主な要因とした最大10%の切り上げは、行政の裁量権を逸脱する、2切り下げは生活圏を保障した憲法25条に違反する3受給者は、物価下落のメリットを享受しづらく、それを理由とした切り下げは不当などを主張する方針だ。

 30日の会合では、北海道、東京、新潟、大阪、京都、広島の6都道府県で、すでに受給者を募る動きが具体化し、審査請求する人が、1000人単位に上る地域が複数になるとの見通しが報告された。生活保護関連では、老齢加算や母子加算の廃止、取り消しを求める訴訟が全国10地裁で、起こされ、計約120人が参加した例がある。

 13年度予算の生活保護費は、国と地方で、計3.7兆円。政府は切り下げに加え、生活保護法改正法案と生活困窮者自立支援法案により、制度を抜本的に見直そうとしていたが、2法案は6月26日に閉会した国会で、廃案となり切り下げだけが先行実施されることとなった。(編集担当:犬藤直也)