総務省行政評価局は今年度に全国規模で生活保護に関する実態調査を実施する。生活保護を受給する世帯主の25%が生活保護受給世帯で育った貧困の連鎖問題もいわれるなか、連鎖の防止策の必要性をはじめ、一方では医療扶助で一部不適正な受給の指摘もある。自立支援の実効性をあげることも急がれている。
こうしたことから、行政評価局では厚生労働省はじめ都道府県、市町村、関係団体を調査の対象に、要保護者に対する保護事務の実施状況や生活保護受給者に対する就労、自立支援などの実施状況、生活保護の適正支給にかかる取り組みの実施状況に照準をあわせ、問題点や改善すべき点などを浮き彫りにしていく。
行政評価局によると、生活保護受給者は昨年11月で215万人あまりとなっている。ここ10年の間に急増している要因は失業などによる稼動可能な年齢層と考えられる世帯の急増(平成14年度約7万世帯、24年度では29万世帯)や就労による自立が難しい高齢者の被保護世帯の増加(14年度約40万世帯、24年度約68万世帯)。
生活保護費の総額は24年度で3兆7000億円。その半数は医療扶助が占めている。一方で、平成22年度のデータで不正受給が約2万5000件、129億円あまりにのぼっている。
生活保護受給者の自立を支援するケースワーカーや社会福祉事務所、ハローワークの連携強化の取り組みも生活保護受給者の急増で十分に機能しているとはいえないなどの状況も指摘されるなど、生活保護にかかわる幅広い実態把握と改善策が急がれている。(編集担当:森高龍二)