【先週の振り返り】為替と中国に翻弄されても196円上昇した週

2013年07月14日 20:06

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どんなに好材料が揃っていようと上海市場が開く午前10時30分が全てを無に帰す危険な時間帯になる

 前週末5日のNYダウは147ドル高で15000ドルを突破し15100ドル台を回復した。アメリカの6月の雇用統計は、失業率は7.6%で5月と同じで、非農業部門雇用者は19.5万人増加。失業率は0.1ポイント減の7.5%の市場予測を下回ったが、非農業部門雇用者数の増加は1万人減の16.5万人の市場予測を3万人も上回った。NYダウは大幅高で引け、ドル高が進行してドル円は101円台に乗せた。8日朝方の為替レートはドル円は101円台前半で、ユーロ円は130円にタッチした。

 日経平均は181.10円高の14491.07円で始まる。TOPIXは1200にタッチするが日経平均は14500円台に乗らない。午前10時すぎには14400円台前半に下がり、上海市場がマイナスで始まった10時30分には14400円を割り込んでどんどん下げる。為替も円高方向に振れて11時前にはマイナスに転落し、「チャイナ・ブラックホール」が、アメリカの雇用統計と円安がもたらした上昇分を全て、黒く塗りつぶしてしまう。その震源地は7月5日に中国国務院が出した「金融行政・政策の指針」というペーパー。「穏健な金融政策を維持する」というその内容に預金準備率の引き下げなど金融緩和策を期待していた上海市場の関係者が失望し、朝からの大幅安につながり東京市場にも大きく影響した。日経平均は14300円割れ寸前からいったんプラスに持ち直すが、後場の午後1時台にはマイナス圏に下落して14300円をあっさり割り込む。追い討ちをかけるように中国政府は主要官庁に「歳出の5%削減」の財政緊縮を指令し、上海市場は大幅安のまま2時に再開した。

 6月の景気ウォッチャー調査は、現状判断は-2.7ポイントの53.0と3ヵ月連続で悪化し、先行判断も-2.8ポイントの53.6。前週の日銀短観と全く正反対の景況感を示した。為替も徐々に円高に向かい、悪材料ばかりで日経平均は一段安になり14200円も割り込む。終値は200.63円安の14109.34円で安値引け。TOPIXも-16.00の1172.58で安値引け。売買高は32億株、売買代金は2兆5155億円で。日中値幅で388円も下落し、大きなイベントを好結果で通過して円安が進んだとはとても思えない。

 33業種別騰落率のプラスはパルプ・紙1業種。マイナス幅が小さかったのは小売、鉱業、その他金融、非鉄金属、電力・ガスなどで、マイナス幅が大きかったのは不動産、建設、情報・通信、空運、鉄鋼、倉庫など。

 8日のNYダウは88ドル高で3日続伸。量的緩和縮小は「9月になれば」が市場のコンセンサスになりつつあり、好材料は素直に受け止められて株価上昇。ポルトガルの政権崩壊、総選挙は回避され、ユーロ圏財務相会合ではギリシャ支援がゆるぎなくヨーロッパの株式市場が堅調だったのも安心感をもたらした。9日朝方の為替レートは、ドル円が100円台後半、ユーロ円が129円台後半と前日より円高が進行していた。

 日経平均は186.10円高の14295.44円で始まる。14300円台も14200円割れもありながらおおむね14200円台で推移したが、この日も中国から目が離せない。6月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比+2.7%で市場予測を0.2ポイント上回り、それを好感し上海市場はプラスで始まった。午前10時30分頃に14200円割れ寸前まで下げた日経平均は急回復し14300円台に乗せるが、前引けは再び14200円台。後場は14300円台でスタートしていったん下げた後、14300円台を1時間で通過して午後2時台に14400円台に乗せる。終値は363.56円高の14472.90円で高値引けだが、TOPIXは+24.31の1196.89で1200乗せはお預け。売買高は28億株、売買代金は2兆3606億円。

 セクター別でマイナスは精密機器1業種だけで、プラス上位は電気・ガス、証券、小売、機械、輸送用機器、倉庫などで、プラス下位はパルプ・紙、金属製品、化学、サービス、空運、その他金融などだった。

 9日のNYダウは75ドル高で4日続伸し終値15300ドル。主要企業決算の先頭打者アルコアの決算は市場予測を上回った。S&Pがイタリア国債を格下げしても、IMFが今年のアメリカの成長予想を1.9%から1.7%に引き下げても影響は小さい。10日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が129円台前半で、ドル高が進んでいた。IMFは今年の世界全体の成長率を0.2ポイント下方修正したが、アベノミクス効果を見込んで日本は1.5%から2.0%に引き上げた。

 日経平均は8.08円安の14464.82円でスタートし、一時は14555円まで上がるがおおむね14400円台前半のマイナス圏で小動き。TOPIXはたびたびプラスにタッチ。11時に6月の中国の貿易統計が発表され、輸出は-3.1%、輸入-0.7%で予想外のネガティブサプライズで日経平均は急落。この時はマイナスまでは落ち込まなかったが、「SQの週の水曜日は荒れる」というアノマリーが当たり、後場の午後1時30分過ぎからドル円が101円を割り込む為替の円高と同調して日経平均はマイナス圏に落ち込みズルズル下げ続け、1時間ほどで14287円まで下落する。それでも大引け間際には100円以上戻して終値は56.30円安の14416.60円だった。TOPIXも-1.69の1195.20と小幅安。売買高は27億株、売買代金は2兆2886億円だった。

 プラスのセクターはゴム、パルプ・紙、小売、空運、鉄鋼、情報・通信などだった。マイナスのセクターは非鉄金属、不動産、その他金融、証券、金属製品、倉庫など。