【日経平均】後場に先物主導の買いが入り363円高と反発

2013年07月09日 20:17

 NYダウは88ドル高で3日続伸。量的緩和縮小は「9月になれば」が市場のコンセンサスになりつつあり、好材料は素直に受け止められて株価上昇。ポルトガルの政権崩壊、総選挙は回避され、ユーロ圏財務相会合ではギリシャ支援にゆるぎなくヨーロッパの株式市場が堅調だったのも安心感をもたらした。9日朝方の為替レートは、ドル円が100円台後半、ユーロ円が129円台後半と前日より円高が進行していた。
 
日経平均は186.10円高の14295.44円で始まる。14300円台も14200円割れもありながらおおむね14200円台で推移したが、この日も中国から目が離せない。6月の生産者物価指数(PPI)は市場予測と同じで前年比-2.7%と低迷したが、6月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比+2.7%で市場予測を0.2ポイント上回り、それを好感し上海市場はプラスで始まった。「危険な時間帯」の午前10時30分頃に14200円割れ寸前まで下げた日経平均は急回復し14300円台に乗せるが、前引けは再び14200円台。後場は14300円台でスタートしていったん下げた後、14300円台を1時間で通過して午後2時台に14400円台に乗せる。上海市場もプラス。終値は363.56円高の14472.90円で高値引けだったが、TOPIXは+24.31の1196.89で1200乗せはお預け。売買高は28億株、売買代金は2兆3606億円。
 
 値上がり銘柄が東証1部全体の84.3%の1446もある全面高で、値下がりは196。日経平均225種で下落は10銘柄しかなかった。セクター別でマイナスは精密機器1業種だけで、プラス上位は電気・ガス、証券、小売、機械、輸送用機器、倉庫などで、プラス下位はパルプ・紙、金属製品、化学、サービス、空運、その他金融などだった。
 
 後場の上昇は先物主導だったので、「御三家」にKDDI<9433>、京セラ<6971>、住友不動産<8830>を加えた6銘柄だけで日経平均を125円押し上げ、上昇幅の3分の1を占めた。ファーストリテイリング<9983>は1650円高で66円寄与した。一方、マイナス寄与度トップで日経平均を6円押し下げ、ニコン<7731>とともに精密機器セクターを33業種唯一のマイナスにしたのが167円安で値下がり率3位に入ったオリンパス<7733>。前日、海外市場で3700万株の公募増資、400万株の自己株処分を行い1181億円を調達すると発表し、発行済株式数の12.1%希薄化への嫌気売りが終日続いた。
 
 メガバンクも地銀も証券株も住宅・不動産関連も揃って反発したが、値上がり率が大きいのは6円高のみずほ<8411>、27円高の野村HD<8604>、値上がり率15位のマネックスG<8698>、値上がり率8位の大光銀行<8537>、200円高の住友不動産、値上がり率11位のタマホーム<1419>など。電機では33円高の三菱電機<6503>、51円高のソニー<3758>、秋に4Kテレビを日欧で発売する19円高のパナソニック<6752>の上昇が大きかった。中国関連のファナック<6954>は370円高、ダイキン<6367>は125円高、コマツ<6301>は78円高、日立建機<6305>は71円高で、全て前日の下落分を取り返しておつりがきた。その他の主力株ではこの日も売買高、売買代金1位の東京電力<9501>が40円高で値上がり率18位に入り、セブン&アイHD<3382>が165円の大幅高になっていた。
 
 サントリー食品<2587>は100円高で無傷の4連騰。ピジョン<7956>は株式分割発表に加え、インドに工場を建設して2015年から哺乳瓶を生産すると報じられ410円高で年初来高値更新。すでに中国で実績があり、出生率の高い新興国シフトを進める。「胃がんの進行度合いを診察可能なDNAチップを開発」と日経新聞が報じた住友ベークライト<4203>は15円高。東洋エンジニアリング<6330>は今期、北米での受注が前期の3倍と報じられ44円高で値上がり率5位に入った。神奈川県が地盤のドラッグストアのクリエイトSDHD<3148>は、今期の増収増益予想と年間配当の増額見通しを好感され395円高で値上がり率4位になった。
 
 日本製紙<3863>は朝から売りが先行し13円安。KLab<3656>はさすがに利益確定売りが入って16円安。群栄化学<4229>が40円安で値下がり率1位、図研<6947>も同8位で3Dプリンターのテーマもひと休みした。値下がり率9位の日東電工<6988>は、野村證券が秋の日経平均採用銘柄入れ替えの採用候補筆頭に挙げながらこの日、投資判断を引き下げたために160円安。野村はこの銘柄の敵なのか? 味方なのか? 
 
 この日の主役は自動車銘柄。後場の上昇では外国の年金資産などのまとまった買いが入ったとみられるが、外国人投資家が好む日本株はトヨタ<7203>やソニーのような世界的なブランドで、円安効果で海外販売が好調な自動車メーカーは後場、大きく上昇した。値上がり率順に並べると、140円高で+5.44%の富士重工<7270>、65円高で+4.12%の日野<7205>、42円高で+4.01%の日産<7201>、24円高で+3.14%のいすゞ<7202>、160円高で+2.56%のトヨタ、10円高で+2.33%のマツダ<7261>、85円高で+2.26%のホンダ<7267>、2円高で+1.36%の三菱自動車<7211>、12円高で+0.69%のダイハツ<7262>、15円高で+0.62%のスズキ<7269>。上昇率トップの富士重工は昨年12月19日に終値が1000円を超えるまで長年、株価が500円前後をウロウロしていたが、この日の終値は2715円。リーマンショック直後に223円まで下げた時に「スバル復活」に期待して買っていたら、株価は今ごろ12倍になっていた。(編集担当:寺尾淳)