世界の工場と言われている中国に部品などを輸出し、外貨を稼ぐ日本の貿易構造が、変わってきた。2013年上期の日本の対中輸出は、減少、通年でこれまで首位を保ってきたが、3位に後退する可能性が高まってきた。
この背景として、日本の製造業が、アジア全体で、サプライチェーン(供給網)を築き、現地や日本からの部品調達に切り替えていることがあげられよう。
中国国家統計局によると、日本の中国向け輸出(ドルベース)は、上期761億㌦と前年同期比で13.8%減少した。一方韓国は、11.6%増、台湾は、36%増といずれも大幅な伸びを見せているのが目立つ。日本の不振が際立っているのは、現在の日中韓の冷え込みの影響が多少ともあると見る向きは多い。
こうした日本の輸出が前年同期比でマイナスに転じたのは、2012年1~3月。品目別の影響度を見ると対中輸出の主力商品である建設機械など、一般機械の不振が響いているのが際立っている。日本建設機械工業会によると、5月は前年同期比71.8%、減と激減している。中国政府の不動産投資抑制策で、建設機械の需要も急減しているのが要因となっている。
そしてもう一つの要因として見られるのが、円安・ドル高であろう。一部の円建て取引の輸出率がドル換算で、目減りしたためと見られている。中長期的には、日本企業が生産拠点を現地化したり、グローバルな部品供給を整えたりしている影響が大きいとみられる。2012年度の日本の輸出全体に占める、中国向けのシェアは、前年度比1.4%減の17.7%で、4年ぶりに米国に抜かれて、2位となった。
一方輸入においては、順調に増えたものの、日本の対中赤字は、約4兆円に膨らんだ。(編集担当:犬藤直也)