欧州連合(EU)の欧州委員会は、4日、中国製の太陽光発電パネルが不当に安い価格で、EUに輸出されたとして、反ダンピング(不当廉売)関税を、6日から6ヵ月間にわたり、暫定適用することを正式決定した。しかしドイツや、英国が、太陽光パネル課税は、中国との貿易紛争を招く、との観点から反対したため、8月までの2ヵ月間は、適用税率を大幅に引き下げる譲歩をした。
欧州委は5月、中国製パネルに、平均47.6%の暫定課税を行う方針を決定。猛反発した中国は、欧州委に圧力をかけて、ドイツなどに説得工作を展開してきた。反ダンピング関税適用には、中国に反発することだけでなく、中国との通商摩擦を懸念する加盟国も多く、そうした国にも配慮する形となった。中国はこうした動きを察知、EU主要国に対し、個別にアプローチ説得を続ける方針だ。
現在、EU加盟国27ヵ国の、過半数にあたる15ヵ国が、課税反対を表明する事態となっている。欧州委はこうした経緯を踏まえ、まず11.8%の低い税率を導入して、中国に改善を求めた上、歩み寄りが見られない企業に、8月から平均47.6%の高税率を課す2段構えとした。しかし中国の太陽後発電パネル輸出は、8割がEU向けと言われ、50%近い課税は、中国メーカーにとって、厳しい。中国政府は、EUは保護主義だと批判しているが、EU側は、中国は安い価格戦略で、欧州シェアを独占した後、価格引き上げに転じるとみている向きは多い。
日本においても太陽光発電パネル業界において、中国の攻勢は顕著で、その価格の安さで、徐々にシェアを伸ばしているのは事実だ。現在海外太陽光発電パネルでは、世界トップを走る中国を抑止するには、高品質で、変換効率に優れたに日本の技術に期待が寄せられているのは確か。これも原材料を保有する中国が関係しているので、コスト面での問題を解決しなければ勝負にならない現実がある。(編集担当:犬藤直也)