第23回参議院議員選挙が21日実施され、選挙区と合わせ改選議席121議席に対し、自民65、公明11、民主17、みんなの党・日本共産党・日本維新の会がそれぞれ8、社民が1、諸派・無所属3となり、生活の党、みどりの風は議席獲得ならなかった。
自民が圧勝、公明も9年ぶりの二桁議席獲得。自民に対峙する共産も躍進、共産の志位和夫委員長は「比例で5、選挙区では東京・大阪・京都で勝利できた。この結果、議案提案権を獲得したほか、党首討論に参加する権利も獲得した」と語った。一方、民主は惨敗。国民がアベノミクスに象徴される経済再生優先の選択をしたといえよう。
一方で、憲法改正への動きに拍車がかかることが明確になった。集団的自衛権の行使に対する政府解釈の変更も、自民党の石破茂幹事長は「現行憲法下でできると思っている」と断言しており、集団的自衛権は行使できないとする従来の政府見解を妥当としている公明党がどこまでブレーキ役を果たせるのか、今後の動向が注視される。
また、改憲を目指す自民、日本維新の会、みんなの党を合わせた議席は81議席、今回非改選の63議席(改革・無所属を含む)と合わせると改憲勢力は144議席で、加憲を唱える公明党(非改選含め20議席)を合わせれば164議席と憲法改正の発議ができる3分の2(162議席)をクリアする。
また原発再稼動を含め、原発・エネルギー政策も自民大勝で自民路線でなし崩し的に政策が正当化されていく可能性もでてきた。
自民圧勝で安倍政権が責任を有する一つに労働者の所得増加への約束がある。政府は「経済成長の果実が供給サイトにとどまることなく、国民ひとりひとりが豊かさを実感でき、将来への希望が持てるようにしなければならない」として、従来の政労会見や経営者団体との意見交換とは別に「政・労・使の3者が膝を交えて建設的に意見を述べ合い、包括的な課題解決に向けた共通認識を得る」必要を示している。その姿勢を支持した色合いも濃く、実効をあげていくことは自民圧勝の責務のひとつをいえよう。
今回の選挙で与党は安定政権を確立。一方、野党は参議院での「問責決議」という切り札も失くした。(編集担当:森高龍二)