ダイハツ・ミライース、ガソリン車最高燃費33.4キロ達成

2013年07月28日 09:47

 1980年代、馬力戦争というものがあった。スポーツカーなどの趣味性の高いモデルの馬力を向上させる事で商品価値を高めた自動車を、開発・生産することが一つのブームとなった。その結果、各自動車メーカーは高馬力を競うようになる。そして89年に日産<7201>のフェアレディZとスカイラインGTRが遂に300馬力を突破した。しかしこの時点で、運輸省(当時)も行政指導に乗り出し、日産はやむなく280馬力に抑える事とした。そして今、馬力というパワーを誇る競争から、燃費という経済性を誇る競争へと時代はシフトした。
 
 ダイハツ<7262>は、軽自動車のさらなる燃費向上のため、低燃費・低価格なクルマづくりの核となる「e:Sテクノロジー(Energy Saving Technology)」をさらに進化させた。「e:Sテクノロジー」の3大要素であるパワートレーンの進化、車両の進化、エネルギーマネジメントについてそれぞれ改良を行い、燃焼効率の向上や走行抵抗の低減、エネルギー効率の向上などを徹底的に追求した。

 8月にマイナーチェンジ予定の「ミラ イース」に、従来の技術に加え今回の改良アイテムを追加採用することで、ガソリン車トップの33.4キロメートル/リッター(JC08モード)を達成した。

 「e:Sテクノロジー」は2011年7月に低燃費、低価格、省資源なクルマづくりの核となる技術として開発された。これを搭載し同年9月に発売した「ミラ イース」は30キロメートル/リッターの低燃費を達成すると同時に、80万円を切る低価格を実現することで、幅広い層からの支持を集めている。

 パワートレーンは、i—EGRを進化させた「クールドi—EGR」により、燃焼効率を向上させた。EGRクーラーにより、再循環させる排出ガスの温度を低減することで、吸気温度を低くする事が可能になり、異常燃焼を抑制できる。吸気温度の低減に合わせて、点火タイミングを最適化しガソリンの噴出量を少なくした。また、低フリクションチェーンを採用した新開発のタイミングチェーンは、背面形状を従来のストレート型から、カーブ型へと変更することで、チェーンガイドとの接触面積を縮小して、フリクションロスを低減した。CVT制御の見直しも行い、従来に比べハイギヤ化を実現し燃費と走りを高次元で両立したという。

 ボディは燃費向上に寄与する意匠や空力パーツを採用して、理想的な風の流れを実現し、空力性能を向上した。4WD車は燃費向上のため、リヤディファレンシャルギヤを改良。アイドリングストップを従来の時速7キロもしくは9キロからの作動だったが、11キロから可能とした。発電効率の高い高性能オルタネーターの採用で、減速時の発電量を向上。加速・走行時の発電を一層抑制することでエンジン負荷を低減し低燃費に貢献した。

 燃費戦争も行きすぎると、極端な車重の軽量化などの弊害が出てきて、行政指導の介入を招くのではないかと、ちょっと心配になる。でも、もちろんこれが杞憂に終わることを願っているのだが。(編集担当:久保田雄城)