【日経平均】良いニュースも焼け石に水で468円の大幅安

2013年07月29日 20:12

 前週末26日のNYダウは3ドル高。アマゾンドットコムの予想外の赤字決算や日本株の不調、商品市場の下落などで警戒感が広まりほとんどの時間はマイナスだったが、スターバックスの好決算やミシガン大学消費者信頼感指数確定値が良かったことなどで次第に下げ幅を縮め、終了直前に長期金利の下落を好感してプラスに乗せて終えた。29日朝方の為替レートはドル円が97円台後半、ユーロ円が130円台前半と、前週末と比べてさらに円高方向に振れていた。

 取引時間前の外資系証券売買注文状況は2日連続の売り越し。G7でもG20でも毎回、アベノミクスは評価されても財政にクギを刺されているが、前週末の「安倍首相が消費増税による景気や物価への影響を再検証するよう指示した」というニュースが海外の投資家の不安を呼びドル、日本株の売り材料になるという見方が出ていた。日経平均は230.71円高の13899.27円と13900円を割ってスタート。25日移動平均線はおろか75日移動平均線も割り込む13817円まで下げ、1週間前の「ゴールデンクロス」は全くの無意味に。その後は13900円をはさんで振れ幅の大きい展開だったが、午前10時30分からの「危険な時間帯」に上海市場が大幅安で始まるとたちまち13800円を割り込み、その後は13800円をはさんでの一進一退が後場まで続く。

 6月の商業販売統計速報は、百貨店既存店は7.5%増、大型小売店既存店は3.5%増で家電量販店までプラスに転じ小売業全体で1.6%増と個人消費の明るさが増したが株式市場には影響せず。黒田日銀総裁が講演を行っても市場には影響せず。1時30分発表の神戸製鋼<5406>の決算が良くても市場には影響せず。その日経平均は大引け前に一段安になり13700円を割り込む。終値は468.85円安の13661.13円の安値引けで4日続落。TOPIXは-38.61の1128.45。売買高は25億株、売買代金は2兆1924億円だった。

 4日間で1117円も下落し6月27日以来の安値水準。この日は約96%の銘柄が値を下げプラスの銘柄はたった57という、もう「明日は明日の風が吹く」と苦笑いするしかない全面安で、東証1部33業種騰落率は当然全部マイナス。下落幅が小さいのは保険、建設、パルプ・紙、小売、その他製品・情報・通信など。大きいのはその他金融、証券、ゴム、電気・ガス、海運、鉱業などだった。

 日経平均225種でプラスはファナック<6954>とニコン<7731>の2銘柄だけ。マイナス寄与度はファーストリテイリング<9983>とソフトバンク<9984>が合わせて日経平均を87円押し下げていた。

 金融関連は前週からの下げが止まらず、三菱UFJ<8306>は25円安、アイフル<8515>は82円安。証券も野村HD<8604>は26日に発表した四半期決算は文句のつけようがない内容だったが45円の大幅安。大和証券G<8601>は36円安、SBIHD<8473>は98円安で、マネックスG<8698>は値下がり率12位に入った。

 ドル円97円台では自動車関連はとても浮上できない。トヨタ<7203>は1~6月の世界自動車販売1位になっても、シティグループ証券が投資判断を引き上げても250円の大幅安で5日続落。マツダ<7261>は独自のエコカー戦略で4~6月期の営業利益が20倍という業績観測記事が出ても21円安。スズキ<7269>はインドネシアに乗用車工場を新設する報道があっても93円安だった。

 神戸製鋼の4~6月期決算は経常損益が171億円の黒字で、中間期も通期も業績予想の黒字幅を上方修正し市場予測を上回った。売買高2位に入り、株価は一時プラスになって終値は大幅高でもおかしくなかったが3円安。こんな日に当たって気の毒だった。日立金属<5486>は4月の日立電線との合併後初の四半期決算が非常に良く、UBS証券、メリルリンチ証券が投資判断を引き上げ、最悪の地合いに逆らって108円高になり値上がり率3位に入った。

 大引け後に12月期中間決算を発表したガンホー<3765>は好決算期待で先回りして買われ、売買代金708億円は親会社のソフトバンクを上回り8000円(8.16%)上昇。一夜明ければソフトバンクを通じて日経平均に好影響をもたらすか。しかしリプロセル<4978>は2360円安と急落して年初来安値を更新し、バイオ関連も手じまいされ、その優等生も1学期の終業式というムードだった。

 この日も決算をめぐり泣き笑いが交錯する。村田製作所<6981>は、自動車用とスマホ用の部品が好調で4~6月期の営業利益が前年同期比4倍の240億円という業績観測記事が出たが、アナリスト予測にあと23億円(8.7%)足りない〃罪〃で360円の大幅安という〃刑罰〃を受けた。一方、ファナックの4~6月期決算は最終利益36%減と悪かったが、中国市場に深くコミットしているのでアナリストも期待値を割り引いて「情状酌量」で〃減刑〃されたようで310円の独歩高で値上がり率19位。3日続落してすでに制裁は受けたとみなされたようだ。同様に中国市場で苦労して酌量の余地はあっても日産<7201>は55円安、コマツ<6301>は83円安、日立建機<6305>は22円安だった。(編集担当:寺尾淳)