【日経平均】ドル円が98円台では14114円まで安くなる

2013年07月26日 20:08

 NYダウは13ドル高。フェイスブックの決算は良くても住宅関連銘柄はさえず、GMは決算内容は良くても経営者コメントが弱気で売られるなど企業決算は強弱入り交じったが、長期金利低下は好感された。決め手はウォールストリートジャーナル紙の「来週のFOMCで量的緩和政策は据え置き」という記事で、縮小開始は先延ばしになるのではないかという観測でドルが売られた。取引終了後発表のアマゾンドットコムは1株当たり利益が赤字。26日朝方の為替レートはドル円が99円台前半、ユーロ円が131円台後半で前日よりも円高に振れていた。

 取引開始前に発表された消費者物価指数(CPI)は、6月全国は+0.4%で14ヵ月ぶりのプラスだったが、先行指標の7月東京都区部は+0.3%だった。外資系証券の注文動向は22日ぶり売り越しで、前日の「キヤノン<7751>・信越化学<4063>ショック」は海外の投資家にも影響大の模様。日経平均は223.54円安の14339.39円と大幅安で始まり、すぐ14200円台に。前場は14300円台にたびたびタッチするが、昼休みにドル円が99円を割ったため後場は最安値で始まり、14200円をたびたび割り込み、午後2時台には14100円台に定着した。前日の信越化学と同じ役回りを午後2時決算発表のJFEHD<5411>が演じ、為替の円高、利益確定売りの金曜日、来週の主力銘柄の決算待ちの様子見が重なると14114円まで安くなる。終値は432.95円安の14129.98円と大幅安で3日続落。2勝3敗、前週末から459円も下げて今週の取引を終えた。マイナスの週は6週間ぶり。TOPIXは-35.26の1167.06と1200割れ。売買高は27億株、売買代金は2兆3712億円と商いは多少増えていた。

 東証1部の値下がり銘柄は1597で9割以上を占め、値上がり銘柄は126。業種別騰落率も全業種マイナスで、マイナス幅が小さいのは石油・石炭、サービス、電気・ガス、化学、農林・水産、その他製品など内需系が主体。大きいのは鉄鋼、保険、銀行、パルプ・紙、不動産、証券など金融系が多かった。

 日経平均採用225種でプラスはトレンドマイクロ<4704>、オリンパス<7733>、富士電機<6504>、荏原<6361>、シャープ<6753>、中部電力<9502>の6銘柄のみ。合わせても寄与度は+2円しかなく、「御三家」に京セラ<6971>を加えたマイナス寄与度4傑の-105円とは勝負にならなかった。

 金融系はおしなべて安く野村HD<8604>が23円安、SBIHD<8473>が値下がり率7位、岡三証券G<8609>が値下がり率12位に入るなど証券株は特に悪かった。ドル円が98円台ではトヨタ<7203>230円安、富士重工<7270>71円安、マツダ<7261>11円安、ソニー<6758>74円安、三菱重工<7011>14円安など輸出関連銘柄は総崩れ。後場の悪役になったJFEHDは通期業績見通しの経常利益を前期の3.3倍の1700億円と発表。決して悪くない数字だが市場予測の2300億円より低かったので214円の大幅安になり値下がり率4位だった。決算発表で急落する銘柄は寂しいのか同類を巻き添えにする傾向があり、お付き合いして新日鐵住金<5401>が15円安、神戸製鋼<5406>が7円安。前日の悪役は、信越化学はプラスの時間が長かったが結局20円安。キヤノンは深く潜行したまま80円安だった。

 地合いが非常に悪い中でも決算がらみで上昇した銘柄の代表がシャープで、4~6月期は当初見通しの営業赤字ではなく10億円の営業黒字になるという業績観測報道が出て1円高。富士電機は4~9月期の見通しを上方修正したほか、同時発表の中期経営計画もアナリストの受けが良く7円高になった。富士通ゼネラル<6755>は通期業績見通しを上方修正しなかったため48円安と売られたが、一夜明けると見直され78円高で年初来高値を更新し値上がり率8位。東証2部の帝国ホテル<9708>は、午後2時に発表した4~6月期の決算内容が良くマイナス圏から急浮上して35円高になった。

 一方、純利益14%増でも4~6月期の業績の通期見通しに対する進捗率が低かった日産<7201>は、後で下方修正の恐れありなのか15円安。中国市場での販売不振が響き円安ではカバーできないとみられる。ヤフー<4689>は前日に純利益29%増の4~6月期決算と4~9月期の業績見通し上方修正を発表したが、SMBC日興証券が「物足りない印象」とコメントしたために下落した。

 ネット選挙関連としても注目されたGMOインターネット<9449>は売買高10位、売買代金6位と買われ、159円の大幅高で値上がり率3位。この日はマザーズのアドウェイズ<2489>、サイバーエージェント<4751>などネット関連が大幅高で、それに影響された。水ビジネスの日本トリム<6788>が800円高で年初来高値を更新し値上がり率6位、ハウスウエディングのベストブライダル<2418>が60円高で値上がり率7位など、テーマ性の強い中・小型株が健闘していた。

 この日の主役は日経新聞で4~6月期の決算見通しが大きく出ていた3大メガバンク。合計で最終利益が前年同期比2割強の増になるという。しかしみずほ<8411>は6円安、三菱UFJ<8306>は31円安、三井住友FG<8316>は185円安と売られるほうばかりが活発だった。記事によると日銀の異次元金融緩和による国債の大量買い取りに応じ、3月末から6月末にかけて三菱UFJは約8兆円、三井住友FGは6兆円超、みずほは5兆円規模と国債保有残高を大幅に減らし、3行全体で2割圧縮したという。しかし国内にはその分に見合う新規の資金需要が乏しく、海外事業や投信販売の手数料で補っている状態。今後、金利上昇で国債売却益が出なくなったらどうするのか。いつまでもあると思うな異次元金融緩和、である。(編集担当:寺尾淳)