NYダウは25ドル安で3日ぶり反落。来年1月に任期切れを迎えるバーナンキFRB議長の後任にはイエレン副議長が最有力視されているが、ワシントンポスト紙がクリントン政権で財務長官、オバマ政権で国家経済会議(NEC)委員長を務めたローレンス(ラリー)・サマーズ氏が有力で、任命権を持つオバマ大統領も乗り気と書いた。ウォール街はFRBにホワイトハウスの色がつきすぎると警戒して株価が下落。アップル決算への好評価は時間外取引で消化済みだったようで、6月の新築住宅販売件数が8.3%増で5年ぶりの高水準でもプラスに浮上できなかった。日本株に影響があるキャタピラーの決算は市場予測を下回る大幅減益で、ボーイングの決算は市場予測を上回る増益。25日朝方の為替レートは、ドル円が100円台前半、ユーロ円が132円台前半と、円安が進行していた。
日経平均は15.93円高の14747.21円で始まるが、すぐにマイナス圏に落ちて14700円を割り込む。午前10時すぎから後場にかけては14600円台で推移するが、午後1時30分すぎには一段安になり14500円台に下がる。前日発表したキヤノン<7751>、後場の途中で発表した信越化学<4063>など主要企業の決算の内容がよくなかったこともあるが、主因は11時10分すぎ、1時15分すぎ、2時すぎと波状的に襲ってきた円高でドル円は2時台には一時100円を割り込み、先物主導で輸出関連銘柄を中心に株価を押し下げた。終値は168.35円安の14562.93円と続落し約2週間ぶりの安値水準。TOPIXは-17.60の1202.32。売買高は22億株、売買代金は2兆673億円と低水準が続いている。
値上がり銘柄305に対し値下がり銘柄は1350もある全面安で、値上がり業種は空運と石油・石炭の2業種だけ。値下がり幅が小さい業種はガラス・土石、食料品、鉱業、ゴム製品など。値下がり幅が大きい業種は保険・電気・ガス、その他金融、その他製品、情報・通信、不動産などだった。
日経平均寄与度のソフトバンク<9984>とファーストリテイリング<9983>の御三家対抗綱引きは前日と立ち位置が全く逆になり、350円高のファーストリテイリングは寄与度+14円、連日の大幅高がウソのような280円の大幅安に終わったソフトバンクは-33円だった。200円安のファナック<6954>はソフトバンク側に加勢し-8円。ソフトバンクの下落は同業種のKDDI<9433>を巻き込んで190円安にし、キヤノンの下落は同業種のニコン<7731>を巻き込んで107円安にしている。
メガバンクも証券も自動車や電機など輸出関連株も不動産大手もほとんどがマイナス。業種別騰落率で最下位の保険は朝、日本郵政がアメリカンファミリー生命保険と「第三分野」のがん保険で提携するというニュースが入り、生命保険の第一生命<8750>が値下がり率17位になり、MS&ADHD<8725>が152円安になっただけでなく、東京海上HD<8766>も値下がり率18位と連れ安した。TPP対策らしいが、日本じゅうの郵便局にアフラックのアヒルがあふれ返ったらとても太刀打ちできないということか。
キャタピラーの決算の悪さはやはりコマツ<6301>と日立建機<6305>に大きく影響し、コマツは56円安、日立建機は50円安。両銘柄は前門の中国の景気悪化、後門のキャタピラーと挟み撃ちにあっている。主力株で元気だったのが前々日の好決算の影響が続く日本電産<6594>で売買代金6位で330円高。ダイハツ<7262>も増収増益の好決算を発表し163円高で値上がり率9位だった。
この日の主役は信越化学とキヤノンと日本電気硝子<5214>。信越化学とキヤノンはともに日経平均を11円押し下げた。信越化学は後場急落し280円安でマイナス寄与度3位。キヤノンは値下がり率15位の185円安でマイナス寄与度4位だった。信越化学は今期初めて通期の業績見通しを発表し、営業利益は8.3%増の1700億円で、2000億円を超えるという市場予測を下回ったために売り込まれた。キヤノンは売上高を1300億円、営業利益を700億円、純利益を300億円それぞれ引き下げるなど12月期の通期業績見通しを大幅に下方修正。「想定為替レートの1ドル95円、1ユーロ125円を超える円安なのになぜだ?」という疑問が市場に渦巻いたが、スマホに押されてヨーロッパでも新興国でもデジカメが販売不振に陥っている。一方、日本電気硝子は前日に3月期第1四半期決算を発表し、営業利益33.6億円で57%減益だったが市場予測の25億円程度を上回り、さらに9月中間期業績予想の営業利益が90~110億円で市場予測の65億円程度を大幅に上回ったために売買高5位と買いを集め、66円高で値上がり率6位。日経平均を3円押し上げてプラス寄与度2位になった。増益見通しでも市場予測を下回れば「売り」、減益でも市場予測を上回れば「買い」になるから、日本電産の永守社長が言うように、アナリストとはいつも仲良くしていたほうが良いのか。(編集担当:寺尾淳)